(写真:2021年5月に実施されたクロコダイル・レスポンス演習時、オーストラリアのポイント・フォーセットで米国海兵隊のティルトローター機「MV-22Bオスプレイ航空機」により輸送されたオーストラリア陸軍兵士等が降着場から離れる様子(ミシャ・ピアス(MICHA PIERCE)三等軍曹/米国海兵隊)

被災地支援態勢を整える 駐オーストラリアの米国海兵隊

2021年5月下旬、米国海兵隊(USMC)駐ダーウィン海兵ローテーション部隊(MRF-D)とオーストラリア国防軍(ADF)が「クロコダイル・レスポンス」と呼ばれる人道支援・災害救援(HADR)演習を成功裏に完了した。

オーストラリアのダーウィンに駐留する米国海兵隊員と水兵の即応能力およびインド太平洋地域で自然災害が発生した場合に備える人道支援能力の向上が演習の焦点であった。

駐ダーウィン海兵ローテーション部隊を率いるデビッド・M・バニング(David M. Banning)大佐は、「当部隊は自然災害などの危機発生時に迅速に対応することで地域の同盟諸国を支援できる態勢を整えておく必要がある」と述べている。

年次演習の実動演習を通して、米国海兵隊とオーストラリア国防軍の兵士等は水浄化、樹木や茂みの伐採、軍隊と装備の輸送調整、降着場の確保、基本的な医療の提供などに関する能力に磨きをかけた。

米国海軍のジュリアン・ゴードン(Julian Gordon)2等衛生兵は、「当兵科の最重要級の任務は、ある国に自然災害が発生した後にその被災地に医療支援を提供することである」とし、「当隊は応急処置、即時の救命措置、トリアージだけでなく、疾患予防を実施する医療能力を身につけている」と説明している。

人道支援訓練と図上訓練を含むクロコダイル・レスポンス演習の3段階訓練を通して米国海兵隊、オーストラリア国防軍、米国国際開発庁(USAID)人道支援局(BHA)、オーストラリア外務貿易省(DFAT)は被災地で軍が提供できる人道支援に関する政策の理解を深化できただけでなく、同演習は各参加軍隊・機関の能力と計画工程に対する意識向上にも繋がった。

また、図上訓練により、米国海兵隊は迅速な対応に関する計画工程を習熟することができた。 同演習はティウィ諸島のポイント・フォーセットにおける5日間の実動演習で幕を閉じた。同最終訓練では、米国海兵隊のティルトローター機「MV-22Bオスプレイ航空機」とミーティアエンジンを搭載したオーストラリア陸軍の巡航戦車「マークVIII(Mark VIII)」による部隊と装備の輸送訓練が実施されている。

オーストラリア国防軍のブライス・ウィリアムズ(Bryce Williams)中尉は、「オーストラリア国防軍の船舶と米国海兵隊の航空機を用い両軍が肩を並べて訓練に挑んだことで、個人レベルだけでなく組織的にそれぞれの工程、政策、手順を相互に理解することができた。これにより協力して人道危機に対応する計画と能力を養うことが可能となった」と話している。

人道支援訓練にはマレーシア軍とフィリピン軍も参加し、インドネシア国軍、国家災害管理局、国家捜索救助庁の当局者が演習全体を視察して作戦経験を共有している。 オーストラリア外務貿易省のジェームス・ギリング(ames Gilling)人道調整官は、「民間主導の人道支援活動にとって軍事提携国と効果的に調整を図ることが不可欠となる」とツイートしている。

オーストラリアの衛生プロトコルに従い、全参加者がすべてのパンデミック緩和対策に遵守してオーストラリアで2週間の隔離期間を過ごした。

2021年に設立10周年を迎える駐ダーウィン海兵ローテーション部隊は、同地域の安定と安全維持において重要な役割を果たしていることを実証している。今回の演習により、地域関与の機会および米豪がインド太平洋地域の危機への対応態勢を改善する機会が得られた。  

(Indo-Pacific Defence Forum)

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