12月8日、オーストラリアのモリソン首相は、来年の北京冬季五輪に豪政府高官を派遣しないと述べた。写真は昨年11月、羽田空港で撮影(2021年 ロイター/Issei Kato)

豪も外交ボイコット表明、北京五輪に政府高官派遣せず

[シドニー/北京 8日 ロイター] – オーストラリアのモリソン首相は8日、来年2月の北京冬季五輪に政府高官を派遣しない方針を明らかにした。米国の外交ボイコットに加わる形で、すでに冷え込んだ豪中関係を一段と悪化させる恐れがある。

モリソン首相は記者団に対し、中国政府は人権侵害などオーストラリアが提起した複数の問題についてまだ対応しようとしていないと指摘し、「オーストラリアの政府高官は五輪のために中国へ行かない。ただし選手は行くことになる」と述べた。

モリソン氏は、今回の決定について、新疆ウイグル自治区での人権侵害問題を協議するための中国との外交チャンネル再開に苦慮していることや、中国政府が豪製品の輸入を遅らせたり阻止していることが要因だと説明した。

一方、豪オリンピック委員会は、外交ボイコットが北京冬季五輪に出場予定の40人の豪選手に影響が及ぶことはないとしている。

在キャンベラの中国大使館の報道官は「一部のオーストラリアの政治家が政治的な駆け引き」を繰り広げているとし「中豪関係の現在の苦境の責任は明らかにオーストラリア側にある」と述べた。

大使館はウェブサイトに声明を掲載し「北京五輪に政府高官を派遣しないという決定は、中豪関係の改善を望むとしてきたこれまでの豪の公的な見解と相反するものだ」と主張。関係改善につながるような環境整備に向けて、具体的な措置を講じるよう豪州に求めた。

北京冬季五輪を巡っては米国が6日、外交ボイコットを表明。中国による新疆ウイグル自治区などの人権侵害に抗議する狙いがある。これに対して中国は、米国はこの決定の「代償を払うことになる」と指摘し、「断固たる対抗措置」を取る可能性があると警告した。

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