2021年12月、北海道で実施された「令和3年度方面隊戦車射撃競技会」に参加する陸上自衛隊の90式戦車(AP通信)

ロシアと中国の脅威に直面する中、日本は北部方面で演習を実施

2021年12月上旬、北海道のさわやかな冬空の中で大地を揺るがす轟音が響く。東北と北海道で一連の日米合同実動訓練が実施される中、陸上自衛隊(JGSDF)の北海道大演習場では多数の戦車と自衛隊員が参加する「令和3年度方面隊戦車射撃競技会」実施された。長年にわたり、北方領土が隣接する北海道の各演習場はロシアの監視役としてだけでなく、中国の台頭に懸念を高める日本政府が自国の軍事力を披露する場としての役割を果たしてきた。 

それぞれ隊員3人が乗車する戦車4台が1組となり、敵のミサイル、装甲車両および軍隊を模した標的への砲弾と機関銃の発射を繰り返す中、数百人に上る応援隊員が自部隊の部隊旗を振りながら声援を続ける。

 陸上自衛隊北部方面隊の発表によると、12月中旬まで実施されている一連の演習には約1,300人の隊員が参加し、そのうち約550人が戦車射撃競技会に参加している。 同競技会は戦車部隊の戦車射撃能力向上を図ることを目的としており、300メートルから3キロの範囲でランダムに出現する標的を射撃する際の速度と精度を競う。 近年、中国とロシアが軍事協力強化を図る中、同演習と競技会が実施された。

中国が海軍活動を活発化させている事実は、日本において最大級の懸念となっているため、日本政府は離島を含む日本南部全域における自衛隊配備とミサイル防衛を急速に強化している。 中国が南シナ海で軍事施設を増強していることも、日本が実行支配している東シナ海に位置する尖閣諸島(中国名:釣魚群島)の領有権を中国が主張しているため、東シナ海に対する日本政府の懸念が高まっている。武装した中国海警局の船団が定期的に尖閣諸島周辺を航行し、日本が領有権を主張する海域に侵入するだけでなく、時には日本漁船を脅かす行為も見られる。 

そのため日本政府は近年、防衛の焦点を日本北部方面から南部方面に移行している。また、優先すべき防衛範囲にサイバーや宇宙、および他の技術分野が含まれるようになったこともあり、従来から自衛の要塞的役割を果たしてきた北部方面隊の火砲・戦車と人員の縮小が逐次進められている。 

しかし、広大な地域に恵まれた北海道が今も自衛隊にとって重要な演習場であることに変わりはないと当局は述べている。北海道の矢臼別演習場の他、戦車の射撃演習が可能な演習場として静岡県・富士山東麓の東富士演習場と大分県の日出生台演習場が挙げられる。 日本政府はまた、戦闘機やミサイル迎撃ミサイルなどの兵器や装備の購入を通じて、米国との安保同盟における役割を急速に拡大している。

 2021年10月に就任した岸田文雄首相は、陸上自衛隊駐屯地での観閲式で初めて訓示した際、弾道ミサイルを相手国領域内で阻止する敵基地攻撃能力の保有を「排除せず」検討し、「必要な防衛力を強化」していく考えを示した。 

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