中国共産党の強硬な南シナ外交が裏目 バリカタン米比演習で中共対抗策が加速

2024/05/02
更新: 2024/05/01

米比同盟は新たな局面を迎えている。4月22日に開始された「バリカタン軍事演習は、アメリカフィリピンの関係が過去最高の状態にあることを示すものだ。中国共産党による南シナ海での挑発的な行動に直面し、フィリピンはアメリカとの協力を強化し、国防力を高めるチャンスを得ている。

フィリピンは長い間、アメリカにとってアジアで重要な同盟国だったが、4年前には関係が悪化寸前だった。今では、米比同盟は数十年来で最も強固な状態にある。この意外な同盟関係の「ダークホース」は、アメリカの外交政策、フィリピンの新しい大統領の政策、そして中国共産党が南シナ海で行ったフィリピンへの干渉の結果として生まれたものだ。

4月22日、アメリカとフィリピンは過去最大規模の年次軍事演習「バリカタン」を開始し、1万6千人の兵士が参加した。演習は5月10日まで続き、フィリピンの領海を超えて南シナ海にも及んだ。これは、中国共産党の広範な領土主張に対する明確な対抗行動である。演習では、アメリカ製の「ハイマース」ロケット砲や「スティンガー」対空ミサイルの使用が予定されており、実戦に備えた協力体制を整えることが目的だ。

この軍事演習の前に、アメリカ、日本、フィリピンはワシントンD.C.で重要な三者会談を実施し、バイデン米大統領は南シナ海での紛争におけるアメリカの防衛義務を再確認している。

フィリピンのマルコス大統領は、1年で2度目となるホワイトハウスへの訪問を果たしている。その訪問の数日前には、アメリカ、日本、オーストラリア、フィリピンの海軍が南シナ海で共同軍事演習を行い、フィリピンへの強い支援を示した。さらに、数週間前にはアメリカのブリンケン国務長官がフィリピンを訪問し、両国関係の著しい進展を高く評価している。ブリンケン長官は、フィリピンのエンリケ・マナロ外相の言葉を引用し、「過去1年で私たちの関係は大きく前進した」と述べている。

「ウォール・ストリート・ジャーナル」の分析では、この変化はアメリカが同盟国を支援することで中国共産党に対抗しようとする戦略の成功を示唆している。

中共は自業自得 フィリピンが米側へ

アメリカン・エンタープライズ研究所のザック・クーパー上級研究員は、アメリカとフィリピンの関係が急速に改善していることに驚きを示し、「中国(中共)の自己破壊的な行動がフィリピンをアメリカ側に引き寄せている」と述べた。

2016年にフィリピン大統領に就任したロドリゴ・ドゥテルテ氏は、中国共産党(中共)との関係を強化した。彼は米比共同軍事演習を制限し、アメリカによるフィリピン軍事基地の改善を妨げ、南シナ海における中国共産党との緊張を軽視した。その一方で、中国共産党は南シナ海の諸島を軍事基地に変えていた。

アメリカが中国共産党を主要な脅威とみなすようになると、トランプ政権は米比関係を再構築し始めた。2019年には、南シナ海で中国共産党がフィリピンを攻撃した場合、共同防衛条約が適用されるとアメリカは宣言し、バイデン政権もこの方針を強調している。

中国共産党は、フィリピンが南シナ海のセカンド・トーマス礁にある前哨基地への補給活動を何度も妨害している。中国共産党は南シナ海のほとんど全域に対する主権を主張し、その範囲にはセカンド・トーマス礁も含まれている。先月、中国共産党の海警船と民兵船がフィリピンの補給船に衝突し、放水銃で攻撃し、フィリピン側の人員が2回にわたって負傷する事件が発生した。

2016年、ハーグの国際法廷は、中国共産党の南シナ海での広範な主張に法的な根拠はないと判決したが、中国共産党はこの判決を受け入れず、フィリピンとの対立は続いている。

報復措置として、フィリピンは西側メディアを通じて中国共産党の行動を世界に暴露し、アメリカとの関係を一層強化している。アメリカはその同盟国を断固として支持し、中国共産党の圧力を増す行動を阻止し、南シナ海の航行の自由を維持することを約束している。

最適な選択

昨年、アメリカはフィリピン内の4つの軍事基地の使用権を追加で取得し、フィリピンで利用できる基地は合計9つに拡大した。これらの基地には、南シナ海や台湾海峡など、アジアの主要な緊張地域で衝突が起こった場合に戦略的に重要なものが含まれている。これらの基地はアメリカが直接管理しているわけではないが、敵対行動が起こった際にはアメリカ軍が迅速に部隊を展開し、航空機やミサイルを発射するなど、中国の戦略に対抗するための重要な役割を果たす。

アメリカン・エンタープライズ研究所のクーパー氏は、アメリカがその地域に限られた数の基地を持つことの重要性を強調した。

彼によると、もし衝突が起きた場合、嘉手納空軍基地やグアムのアンダーセン空軍基地のような著名な施設が中国共産党の標的になりやすいといっている。

また、クーパー氏は、フィリピンが戦略的に最も適した場所だと述べている。その理由は、フィリピンが第一列島線の中核に位置しているためである。第一列島線とは、日本から台湾、フィリピン、南シナ海に至る地域を指す。

アメリカ陸軍の新型中距離ミサイルランチャーが今月フィリピンに配備され、インド太平洋地域で初めての演習を実施している。シンガポールのS. Rajaratnam School of International Studiesのコリン・コー上級研究員は、タイフォン・システムがフィリピン北部から、中国共産党が南シナ海に有する基地や中国大陸の沿岸部、さらには内陸の軍事施設に対して攻撃を行う能力を持っていると述べている。

フィリピン海洋事務・海洋法研究所の所長、ジェイ・バトンバカル氏は、「ウォール・ストリート・ジャーナル」のインタビューで、「中国が南シナ海で一方的な行動をとった結果、フィリピンは予期せぬ同盟を活用し、国の防衛力を向上させるチャンスを得た」と述べている。

またバトンバカル氏は、フィリピン軍がこれまで国内の安全を優先してきたが、今では外敵からの防衛に必要な訓練と実戦経験を積む必要があると理解したと述べた。

李言