オピニオン プーチンの核ミサイル演習と欧米分裂の真相

中国共産党の詐欺行為

2024/05/12
更新: 2024/05/11

中国共産党が「百年の詐欺」と称する戦略を展開し、ロシアプーチン大統領を利用してヨーロッパを混乱させようとしている。プーチンの核ミサイル演習が意味するものは何か。また、習近平のヨーロッパ訪問がもたらした影響は何か。この記事では、中国共産党の詐欺的戦略がもたらす国際的リスクと、それに対するプーチンの対応について探る。

最近、世界の注目を集めたのは習近平のフランス訪問である。多くのメディアやSNSユーザーが積極的に報じているが、プーチンの動向を見逃している人も多い。注目すべきは、プーチンがロシア軍に「戦術核兵器」の演習を指示した点である。これは、核戦争を引き起こす可能性を示唆するものだ。

一、プーチンは実際に核戦争を望んでいるのか?

5月6日、プーチンはロシア南部のミサイル部隊と海軍に対し、核兵器の演習に参加するよう命じた。この演習はウクライナの近くで実施され、小規模な核兵器である「戦術核兵器」の配置と使用準備を含んでいた。果たしてプーチンは本当に核戦争を起こす意志があるのだろうか。

必ずしもそうとは言い切れない。公式には「西側諸国から挑発的な発言があった」とされ、ロシアは統一と主権を守るために演習を行ったと説明している。しかし、この理由は説得力に欠ける。挑発が本当に即座に対応する必要があるものであれば、挑発の直後に核兵器を用いるべきだ。では、なぜ5月6日まで待ったのか。

さらに、5月6日は習近平がフランスやEUと三者首脳会談を行う日でもある。偶然だろうか。もちろんそうではないと考える。プーチンは実際に核戦争を望んでおらず、核兵器でヨーロッパに圧力をかけることで、中国共産党が交渉で政治的利益を得るための手段にしているのだ。

中国共産党は、ウクライナ問題で「和解を促進し、交渉を進める」と主張しつつ、習近平のヨーロッパ訪問時にプーチンが核兵器演習を行うのは、習近平を窮地に追い込むためではなく、ヨーロッパに「戦火拡大」への恐怖を植え付け、中国共産党に助けを求めるよう圧力をかけるためだ。これにより、中国共産党はヨーロッパに対して強い影響力を持ち、譲歩を引き出すことができる。

ウクライナのゼレンスキー大統領が習近平を停戦目的の平和サミットに招待したが、中国共産党はこれを無視し続けた。なぜなら、中国共産党はロシア・ウクライナ間の停戦を望んでおらず、むしろ利益追求のために紛争を利用しているからだ。

二、習近平がヨーロッパを訪問した理由とは何か

習近平のヨーロッパ訪問にはいくつかの狙いがある。まず、新エネルギー関連製品をヨーロッパ市場に広げ、反ダンピング調査を避けたい意図がある。

次に、ロシア・ウクライナ紛争解決を表向きの理由にヨーロッパ諸国にロシアへの譲歩を促し、アメリカとの一致を避け、ロシアへの国際制裁の圧力を和らげようとしている。

最も重要なのは、経済貿易のメリットを駆使し、フランスやハンガリーを中国共産党に引き寄せ、EU内部の結束を弱め、中国に対する政策を破綻させることだ。北京はEUとアメリカの戦略的同盟を崩し、ヨーロッパがアメリカに従わないようにし、中国共産党を非難しないよう望んでいる。

フランスのマクロン大統領は柔軟な態度を示しており、「戦略的自主性」を目指し、アメリカの立場に追随することを望んでいない。中仏EU三者会談の際、「人民日報」も「中欧関係は第三者に左右されるべきではない」とし、ヨーロッパが戦略的自主性を維持するよう求めている。

「新冷戦を避ける」「陣営対立を防ぐ」という言葉は、中国共産党が統一戦線を形成するための宣伝戦術である。これにより、アメリカとヨーロッパの関係に亀裂を生み、EU内部の分裂を誘発する可能性がある。習近平はヨーロッパ訪問で「分断して統治する」戦略を採用しようとしているのだ。

三、プーチンは中国共産党に騙されたのか

習近平のヨーロッパ訪問は、中国共産党の利益追求だけでなく、プーチンの困難を救済する目的もある。そのため、プーチンは核兵器演習で習近平の交渉を後押ししている。プーチンは5月の中国訪問を前に核の脅威を強調し、習近平を困らせるのではなく、共同戦略を実行しているのだ。

昨年3月、習近平がロシア訪問時にプーチンと共に「百年の大変動」を推し進めることについて言及した。この「百年の大変動」の詳細は不明だが、イランや北朝鮮といった「悪の枢軸」と協力し、国際的な力の均衡を覆す戦略とみられる。

主要な戦略は次の四つに分けられる:

ロシアがウクライナに侵攻し、ヨーロッパとアメリカの経済力とNATOの軍事力を弱体化させる。

イランがテロ組織を使って中東で紛争を誘発し、アメリカ軍をそちらに向ける。

北朝鮮が東北アジアでミサイルの脅威を続け、在日・在韓米軍の活動を制限する。

中国共産党が台湾海峡で軍事攻撃を仕掛け、アメリカを三方面作戦に引き込むことでアメリカ軍を消耗させ、ロシアと中国共産党がウクライナと台湾を支配する機会を生み出す。

これら4つの戦略のうち、最初の3つは既に発生しており、残るは中国共産党が台湾海峡に軍隊を派遣することだけである。しかし、中国共産党はアメリカや同盟国の対応能力を過小評価し、台湾海峡での準備を過信しているため、軍事介入に躊躇していると考えられる。

私の分析では、ロシアを含むこれらの「悪の枢軸」国が中国共産党に騙されているのだ。「百年の大変動」は中国共産党の「百年の詐欺」であり、中国共産党はこれら勢力を使ってヨーロッパとアメリカの軍事・経済力を弱め、封鎖を突破し世界支配の道を開こうとする策略だ。

一つ強調したいのは、中国共産党がロシアに警戒心を持ち続けている点だ。ロシアは中国共産党にとって北方国境での最大の懸念事項だからである。そのため、中国共産党はロシアの経済や軍事を意図的に消耗させ、最終的にロシアを完全に支配するという思惑を持っていると推測できる。

中国共産党は常にロシアに警戒心を持っている。ロシアは中国共産党にとって北方国境での最大の懸念事項であり、その結果、中国共産党がロシアを操り、ウクライナへの攻撃を促す可能性は高い。これによりヨーロッパとNATOを疲弊させる一方、ロシアも弱めることを狙っている。

しかし、中国共産党はロシアの崩壊を望んでいるわけではない。むしろ、ロシアが弱まり、経済的および軍事的に中国共産党に依存する「大きな北朝鮮」のような状態になることを望んでいる。そうなれば、ロシアは中国共産党の影響下に置かれ、中国共産党は懸念を一つ減らすと同時に、利用可能な傀儡としての重要な駒を得ることができる。

そのため、ブリンケン米国務長官が中国を訪問した際、中国共産党がロシアの軍事産業を支援している点を指摘し、その支援を停止するよう訴えた。これは2年にわたる戦争で疲弊したロシアが、中国共産党の支援に依存せざるを得ない状況を示している。すなわち、中国共産党はロシアとウクライナの紛争において和平を促進する役割を果たしているのではなく、実際にはウクライナに害を及ぼしている。

さらに、プーチンが核兵器の演習を指示し、それが中国共産党の交渉カードとして機能していることが明らかになった。これはロシアが影響力を失い、中国共産党の下で二番手に甘んじている状況を示している。

四、中国共産党が長年行ってきた詐欺は成功するのか

中国共産党が長年行ってきた詐欺が成功するかどうかは、現状では行き詰まりを示唆している。例えば、中国共産党は経済的メリットを駆使してEU内の反中共感情を割ろうとしているが、欧州とフランスは貿易交渉において中国共産党に公正な貿易ルールの遵守と不公平なダンピングの回避を強く求めている。

一方で、中国共産党は「中国の生産能力の過剰は問題ではない」と主張し、ダンピングを否定しつつEUに市場を開放させ、中国のルールに従わせようとしている。この意見の食い違いはEUの根幹的な利益にかかわる問題であり、中国共産党の分断策が功を奏する可能性は低い。

アメリカは長年、中国共産党の三線作戦によって自国の軍事力が削がれることを懸念していた。そのため、ウクライナ紛争に積極的に軍を送らず、「ヨーロッパ戦争の罠」に陥らないようにしている。さらに、「中東戦争の罠」にも陥らず、強い外交を通じてハマスに停戦を促した。

加えて、アメリカは国家情報総監を通して中国共産党とロシアが軍事協力を深め、台湾問題で共同軍事演習を行っていることを明らかにした。これにより、アメリカはヨーロッパと台湾海峡の両方でロシアと中国共産党に対応する二線作戦を進めている。

この情報の公開はヨーロッパへの警告でもある。ヨーロッパが中国共産党への警戒を緩めアメリカとの共同戦線から離れた場合、中国共産党とロシアがヨーロッパで新たな紛争を引き起こすリスクがある。また、この観点から見ると、中国共産党はロシアと共にヨーロッパへの軍事的脅威となっている。

こうした中、中国共産党が仕掛けた「百年の大詐欺」は現在行き詰まりを迎えている。ヨーロッパを騙し欧米諸国の団結を弱める試みは、中国共産党にとって成功していない。最も深刻な影響を受けているのは、意外にもプーチン率いるロシアである。

五、この「百年の大詐欺」はどんな影響をもたらすのか?

長期にわたる詐欺計画の背後にある中国共産党による打撃を最も受けるのは中国の一般市民である。台湾海峡での軍事的緊張に備え、中国共産党は国民と食糧を奪い合い、戦略的な備蓄のために金を争うことになる。台湾海峡の緊張は外国の投資家や企業が中国投資を躊躇する要因となり、失業率増加や民間経済の衰退が続くと懸念される。

国際的に見ると、中国共産党が引き起こそうとしている複数の戦争が世界経済に波紋を広げ、エネルギー、食品、金価格の高騰を招く。それにより世界中でインフレ圧力が増し、今年の経済回復は一層難しくなるだろう。海外に住む者もこの状況に備えるべきである。

唐浩
台湾の大手財経誌の研究員兼上級記者を経て、米国でテレビニュース番組プロデューサー、新聞社編集長などを歴任。現在は自身の動画番組「世界十字路口」「唐浩視界」で中国を含む国際時事を解説する。米政府系放送局ボイス・オブ・アメリカ(VOA)、台湾の政経最前線などにも評論家として出演。古詩や唐詩を主に扱う詩人でもあり、詩集「唐浩詩集」を出版した。旅行が好きで、日本の京都や奈良も訪れる。 新興プラットフォーム「乾淨世界(Ganjing World)」個人ページに多数動画掲載。
関連特集: オピニオン