2008年10月、インド初の無人月探査衛星であるチャンドラヤーン1号(Chandrayaan-1)」がスリハリコタから打ち上げられる(ロイター)

インドが国内宇宙部門を拡大し、国際協力を推進

インド政府は宇宙分野の改革を進めており、国内の民間産業だけでなく海外企業との連携の促進を目指している。この改革は、インド宇宙研究機関(ISRO)および他国の対応機関と協力する伝統に基づき構築される。

 インドは、共同実験や専門知識流入のためのプラットフォーム構築など、宇宙研究における国際的な関与と協力の拡大に関する提案を検討している。

2021年12月上旬、インド政府のジテンドラ・シン(Jitendra Singh)科学技術相は、この取り組みを発表するにあたり衛星、地球観測、宇宙科学・惑星探査のための科学機器、新たな推進技術、衛星データの共有、有人宇宙飛行支援、宇宙状況把握、訓練・能力開発などの宇宙技術分野を挙げた。

 シン氏はより多くの民間企業の関与を確保するために、インド宇宙推進および認可センター(IN-SPACe)が最近設立されたと述べている。ISROは、国営のNewSpace India Limited (NSIL) と共同で、政府の役割を分担する予定だ。ISROは新技術と有人飛行を含む宇宙ミッションに注力し、運用衛星、ロケット、サービスの履行はNSILに委ねられる。

 2021年10月初旬に、インドのナレンドラ・モディ首相は改革を開始するにあたり、「宇宙探査だけでなく宇宙技術開発作業においても効率と価格を優先する必要がある。我々は単なる宇宙部品サプライヤーからエンド・ツー・エンドの宇宙サプライチェーンの一部となるべく前進しなければならない」と述べた。 

モディ氏は同イベントでインド宇宙協会の設立を発表し、このビジネス組織にはインドを代表する航空宇宙メーカーやテクノロジー企業が加盟していると述べた。同協会は、インドにおける能力強化および宇宙経済ハブやインキュベーターの設立により国内の宇宙技術の発展を支援する。 

IN-SPACe会長のパワン・クマール・ゴエンカ(Pawan Kumar Goenka)博士は、インドの宇宙分野でもスタートアップ企業が重要な役割を果たすと述べ、Skyroot、Agnikul、Bellatrix、Pixxelを「すでに大きな進歩を遂げ、世界に進出する準備ができている」インドの宇宙スタートアップ企業として特定した。 

同社の会長であるスニル・バーティ・ミタル(Sunil Bharti Mittal)氏は、インドのインターネットプロバイダーOneWebが、ISROの協力を得て2022年に低軌道衛星のコンステレーションを拡大することを望んでいると述べた。 

インド宇宙省のニュースリリースによると、ISROは約70カ国と覚書または枠組み協定を締結しており、海外パートナーとの協力を通じて重要な成果を挙げている。 

「インドは常に宇宙は国家の思惑を超えた次元にあり、国際的なパートナーとともにしか対処できないことを認識している」とリリースを発表した。 月面に水を発見したのも、そのような成果の1つであるとISROは報告しており、2008年10月から2009年8月にかけて行われたインド初の月への無人月探査衛星「チャンドラヤーン1号(Chandrayaan-1)」は、アメリカの宇宙機関NASAとの緊密な協力のもとに製造された。

ISROとフランス国立宇宙研究センターが参加したミッションでは、モンスーンやサイクロンなどに関する地球の気候や気象について、重要な発見がなされた。 

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