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10億年分の地層がない?! 地質学者を悩ませるグランドキャニオンの謎(2)

地層不整合が広範囲で見られる

地層の消失はアメリカのグランドキャニオンで顕著に見られますが、世界的にも見られる現象です。

米イリノイ大学地質学部のスティーブン・マーシャック名誉教授は、BBCの取材に対し、「アメリカでもシベリアでもヨーロッパでも、どの大陸の中心部でも、深く掘り下げると、二つの岩石層が不整合している不思議な状態に遭遇する」「ですから、この地質現象が一般的であるという事実は、私たちがまだ地球の歴史を理解していないと言う重要なことを物語っているのです」と説明しました。

マースチャック教授が暗示するように、失われた10億年の間に地球に何が起こったのか、どんな出来事があったのかを解明することは、決して小さいことではありません。その理由は2つあります。

まず、この地層不整合は、5億4100万年前に地球上の生物の多様性が突然爆発的に増加した「カンブリア爆発」と呼ばれる不可解な出来事に先行するものです。

カンブリア爆発とは、地質学上の歴史において、海の中の生物は生物学的に区別のつかない奇妙な生物が散在しているだけだったところに、突然豊かな生物の多様性が現れ、現在でも地球上に存在する多くの主要生物が出現した時代のことです。さらに驚くべきことは、この突然の生命爆発が、1300万年から2500万年前の「短期間」の間に起こったということです。

カナディアン・ロッキーのバージェス頁岩から、カンブリア紀の絶滅動物の化石が発見されました。写真は本種を正面から見たものです(J.-B. Caron and J. Moysiuk/Wikimedia Commons)

第二に、地球が地質年代を失ったこの10億年の間に劇的な気候変動を起こし、地表がほぼ完全に凍結した巨大なアイスボールとなっていたのではないかと考える科学者もいます。しかしスノーボール・アース」がどのように形成され、地球上の生命がどのように10億年の寒さを乗り越えたのかについては、未だに解明されていません。

しかし、この先史時代の暗黒時代に何が起こったのかが分かれば、こうした科学的な難題にも答えることができるかもしれません。

(翻訳・志水慧美)