リンゴを正しく食べれば、コレステロールを排除する効果も

英国のウェールズ由来の諺で「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」といった言葉もあるように、リンゴを食べることは心血管疾患を防ぐ効果が期待できますが、食べ方を間違えたら、栄養素を損なう場合もあります。

リンゴを1日1個食べれば、コレステロールを下げ、心血管疾患を防ぐ

甘酸っぱいリンゴは、物資の乏しい時代には重宝され、人々が病院に見舞いに行く際の高級な贈り物であった歴史もあります。「どんな体質の人でもリンゴを気軽に楽しめる」と慈航漢方クリニックの李応達院長は言います。

糖質の含有量は低く、リンゴポリフェノールも多く含まれますので、体内脂質の酸化を抑え、心血管疾患から守る効果があるといいます。

オハイオ州立大学が2012年に小規模な研究を行い、20代から60代の健康な大人計51名を3グループに分け、第1グループは1日にリンゴを1個食べ、第2グループはリンゴポリフェノールのカプセルを飲み、第3グループはプラシーボ(偽薬)を服用しました。

そして1か月後、コレステロール値を検査すると、リンゴを食べたグループは数値が40%も下がりました。リンゴポリフェノールを飲んだグループもある程度下がりました。プラシーボを飲んだグループは変わりありませんでした。

リンゴにはリンゴポリフェノールだけでなく、ペクチンもたくさん含まれています。ペクチンは水溶性食物繊維であり、コレステロールが血液の中に留まる時間を減らし、コレステロールを下げる効果があります。しかも、満腹感をもたらし、腸内運動を促し、便秘を改善します。

またリンゴには赤、青や黄色など、色々な種類があります。鉄分などの含有量に多少違いがあります。梁さんはバランスよく色んなリンゴを食べることをお勧めします。

さまざまな色のリンゴを交互に食べて、さまざまな植物化学物質を手に入れることができます(Shutterstock)

次のような方はリンゴを食べる時に気を付けなければいけません。

糖尿病患者

リンゴは糖分の含有量が高くないとはいえ、糖分が含まれていますので、適度に摂取するように気を付けましょう。リンゴをミキサーでジュースにして飲むことは血糖値の上昇につながるので、お勧め出来ません。

胃腸不調の方

酸味が強いリンゴもあります。胃腸不調や胃潰瘍の方は空腹時を避け、食後に食べることをお勧めします。

便秘の方

リンゴは便秘改善の効果はありますが、十分な水を飲まなければ、リンゴに含まれるペクチンは胃腸の運動を促進できません。また繊維質は腸の中で固くなり、排出しにくくなります。便秘の方はリンゴを食するのは1日に2個までにしましょうと梁さんは提案しています。

リンゴとシナモン ダイエットの名コンビ

リンゴはカロリーが低いし、満腹感をもたらしますので、ダイエットのために、リンゴだけ食べる方もいます。梁さんは健康なダイエットにはバランスのよい食事が大事だと説明し、リンゴを3食のうちの1食に置き換えれば十分だといいます。

リンゴはシナモンと一緒に食べることもお勧めします。シナモンは食欲を抑制する効果があります。

リンゴにシナモン茶、リンゴに粉シナモンをかけてオーブンで焼いたり、エアフライヤーをお持ちの家庭では、スライスしたリンゴを揚げたあとに粉シナモンをまぶして食べることもお勧めします。加熱によって、リンゴの栄養素を多少損ないますが、全体的な栄養バランスを破壊することはありません。

リンゴとシナモンのデザートはダイエット時に食べるのには非常に適しています(Shutterstock)

栄養を損なわないリンゴの食べ方

1.皮ごと食べること
リンゴの皮には栄養素や繊維がたっぷり含まれています。できれば皮ごと食べることをお勧めします。しかし、3歳未満の幼児の場合、胃腸の負担になるため、また年寄りの方にとっては歯の負担になるため、皮を剝いてから食べましょう。

リンゴの洗い方:温水でスポンジを使ってリンゴを洗った後、水に(塩を使わず)10~15分漬けてから食べましょう。

2.塩水を使用しないこと
切ったリンゴが茶色になるのは、リンゴに含まれるポリフェノールの一種であるエピカテキンやクロロゲン酸が酸化酵素によって空気と反応して酸化し、変色するためです。

また変色を抑制するために、リンゴを塩水に漬ける方もいますが、リンゴを塩水に漬けると、ナトリウムの含有量が一気に上がってしまいますので、腎臓病を患っている方や高血圧の方にはお勧めできません。

また塩水につけても、時間がたつと変色は進みますので、リンゴを切ってから、15分以内には完食するようにしたほうがよいでしょう。

(翻訳・上山仁徳)