米政府が石油価格沈静化のため備蓄放出の国際協調を呼び掛けているにもかかわらず、中国が今年、石油備蓄の買い増しを進めている。市場データや商社筋の話で明らかになった。写真は2018年10月、中国・珠海市にある石油・ガスの貯蔵施設(2022年 ロイター/Aly Song)

中国が石油備蓄増強、米国の石油放出協調呼び掛け無視

[ロンドン 25日 ロイター] – 米政府が石油価格沈静化のため備蓄放出の国際協調を呼び掛けているにもかかわらず、中国が今年、石油備蓄の買い増しを進めている。市場データや商社筋の話で明らかになった。

米政府は昨年11月に備蓄5000万バレルの放出を発表し、中国とインド、日本、韓国、英国も放出するとしていた。インドと日本と韓国、英国はそれぞれ、ある程度の放出の意向を表明したが、中国はその後も正式には放出を約束していない。

2月のロシアによるウクライナ侵攻と一段の原油高を受けて、バイデン米大統領は24日、新たな協調備蓄放出を表明した。

2人の商社筋によると、2月上旬に中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が北京で会談した直後に、中国の石油の買い付けが増えた。

大手商社の石油担当筋は「2月に入ったとたんに(中国の買い手から)新たな買い注文を受けた」と述べた。別の大手商社筋は、同社や同業者が2月に米国から中国に数カーゴ分の原油を持ち込んだと話した。

複数の商社筋は、価格が高騰しているにもかかわらず中国が備蓄増強を決めたのは明白だと語った。

中国国有の中国石油化工集団(シノペック)の広報担当者は、今年1月の原油輸入量は前年同月並みで、2月についてはデータをまだまとめているところだと語った。ある中国の業界幹部は、放出の計画を策定するように言われているものの、最終的な指示が政府からまだないと2月に発言している。

中国を拠点とする商社幹部2人によると、シノペック傘下の商社ウニペックはここ数週間で異例に買い入れを進めている。これが中国の備蓄増加の一因だという。

データ分析会社ケイロスのアウグスティン・プラテ氏は「中国の原油在庫は昨年11月半ば以降で約3000万バレル増えている」とし、このうち1000万バレルが精製所在庫、2000万バレルが商業ターミナルの在庫だと分析した。同社が人工衛星で中国の石油タンクを監視した結果、現在の推定原油在庫は9億5000万バレルという。石油在庫全体は米国の戦略石油備蓄に匹敵する規模になっている。

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