「失語症は改善できます」前向きな姿勢と家族の支えがポイント

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米映画『ダイ・ハード』(1988)の主演で知られるハリウッドスター、ブルース・ウィリス氏が3月30日、自身の失語症を理由に俳優業の引退を表明しました。

引退を表明したハリウッドスター

ウィリス氏の家族がソーシャルメディアに投稿した声明によると、同氏は「数年前からいくつかの健康問題があったが、最近失語症になって、セリフが覚えられないなどの認知能力が損なわれている」と言います。
同氏は、3月19日に67歳の誕生日を迎えたばかりでした。

失語症は、脳の損傷によって言語領域の機能が失われ、言葉による表現や理解能力に問題が生じる病気です。では、その失語症とは、どのような原因によって起こるのでしょうか。また、回復する可能性はどれほどあるのでしょうか。

失語症の典型的な例として、以下の症状がみられることがあります。

 

1 日用品の名前を正しく言えない

思い出せずに言い間違える、または、「いつも使っている、あれ」などの言葉で代替したりします。

2 言語の文法が乱れる

流暢な言葉で表現できなかったり、話している途中で絶句したり、発音が不明瞭になったりします。

3 相手の言葉を復唱できない

4 聴覚からの理解や読字能力に低下がみられる

それ以外の具体的な症例として、患者は「会話の一部を理解できるが、表現力が低い」「表現力は比較的良好だが、理解力が低く、不適格な返答をする」「言語の理解力と表現力の双方が低下している」があります。

 

まずは「3高の制御」から

失語症の誘因には、脳卒中認知症、頭部外傷、脳腫瘍などがあります。その中では、脳卒中から失語症になるケースが、最も多く見られます。

脳卒中は突然起こることが多いため、このような脳卒中による失語症は、多くの場合、目立った兆候がみられません。

もう1つは、脳小血管の詰まりによる小脳梗塞で、この場合も失語症になることがありますが、警告としていくつかの兆候があります。

リハビリ専門医の蔡育霖氏は、「患者は、発症前から、次第に忘れっぽくなったりします。また、昔は話し好きだった人が、話すのが好きではなくなり、語彙が少なく、言葉の表現力が乏しくなるのです」と述べ、家族や周囲がそれに気づくことが予防や早期発見につながると指摘します。

脳卒中による失語症を予防するには、いわゆる「3高」と呼ばれる高血圧、高血糖、高脂血症など、慢性疾患の危険因子を制御することから始めます。

高血圧、高血糖、高脂血症を制御することは、脳卒中を予防し、失語症の回避に役立ちます。(Shutterstock)

もう一つのよく見られる要因は「前頭側頭葉の知能喪失症」です。
中国医薬大学新竹付属病院神経科主任の陳叡正氏は、「前頭側頭葉の知能喪失症」による失語症の特徴として「漸進性」を挙げています。

この場合、病状が少しずつ進むため、その途中段階において「新聞は読めないが、記憶、言語表現、行動は正常」という状態もあると言います。

そのほか、交通事故などによる頭部外傷が原因で、失語症を引き起こすこともあります。

 

早期回復のため「発症後6カ月が重要」

脳卒中の患者は、発症後の6カ月間を十分にケアすることが、予後の回復に最も重要であると言われています。

脳卒中によって脳が損傷を受け、失語症に至った場合も、この「発症後の6カ月が重要」というアドバイスは該当します。

失語症に影響する予後因子は多数あるため、脳卒中に加えて、高血圧や糖尿病などの慢性疾患のある患者は、特に注意して、この6カ月間の治療とリハビリに努めてください。

表達型失語症(ブローカ失語)は、予後が比較的良好です。
蔡育霖氏によると、「このような患者は医師の意思を十分理解できるので、リハビリ方法を的確に指示すれば、それに従い、自分で改善することができる」と言います。

しかし、理解力と表現力の双方が低下した失語症患者は、予後の回復も難しくなるとのことです。

 

キーワードは「家族とともに」

失語症患者のリハビリでは、家族が重要な役割を果たします。

陳叡正氏によると、失語症は「1人で、言語が異なる外国にいる状況」と似ており、患者は孤立感を覚えることで、抑うつ状態に陥りやすくなると言います。

そのため家族は、患者のメンタルに注意を払いながら、忍耐強く、患者のリハビリを支える必要があります。

失語症患者のリハビリで、家族は重要な役割を果たします。(Shutterstock)

 

「患者本人の意思と努力」と「家族の支援と配慮」。この2つの条件のもとに、より的確な治療とリハビリが行われれば、失語症については、かなり元通りに近い状態に回復できるケースがほとんどです。

しかし、失語症が比較的重篤な場合もあります。
長期にわたる治療の結果、たとえ回復が思わしくないとしても、コミュニケーションボードなどの器具を使って、人間関係を損なわずに社会性を維持することはできます。
陳叡正氏は、「病に対して常に前向きであれば、必ず回復の可能性はある」と言います。

 

(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)

蘇冠米