2017年9月、四川省成都市で開催された「千人計画」フォーラムの様子(大紀元資料室)

独の中国人訪問学者、帰国後「軍に従事」=独メディア調査

ドイツで学んだ多くの中国人客員研究員が帰国後、中国軍のために働いていることが独メディアの調査でわかった。

ドイツの国際公共放送ドイチェ・ベレ(DW)は20日付の報道で、「ドイツと中国の科学研究協力は、最終的に中国の軍事技術の向上を助けている」と指摘した。

ドイツ政府は、その種の協力が「長期的に安定した二国間関係にとって特別な意味を持つ」と考え、支援してきたという。

DWは、ドイツで学んだ後に中国軍のために働く研究者を例に挙げた。

例えば、ドイツの公益財団「アレクサンダー・フォン・フンボルト財団」から奨学金を受けた中国人化学者は、2011~14年にベルリンの3つのトップ研究機関で学んだ後、中国最高軍事指揮機関である「中央軍事委員会」の装備開発部に勤めている。

アレクサンダー・フォン・フンボルト財団は、優秀な外国人研究者にドイツでの長期研究を支援し、学術文化交流を展開することを目的としている。

同財団の奨学金援助を受けたもう1人の中国人物理学者は、ボーフム大学(Ruhr-Universitat Bochum)に3年間留学した後、18年に帰国した。1年後、「中央軍事委員会」から助成金を受け、20年から中国航天科技集団の514研究所に勤務し、人工知能などを中心に研究を行っているという。

また、別の中国人エンジニアはミュンヘン工科大学で学んだ後、帰国した。19年に「中央軍事委員会」からイノベーション賞、翌年には研究助成金を獲得した。超音速兵器の研究を行っていた。同エンジニアの率いる3つの研究プロジェクトはいずれも「中央軍事委員会」から直接資金援助を受けており、うち2つは「重要な国防プロジェクト」とされている。

素粒子物理学を専門とする女性物理学者は、独ハンブルク大学やヨハネス・グーテンベルク大学マインツで学んだ。その後、中国の人材招聘プログラム「千人計画」に参加し、帰国後は中国唯一の核兵器開発・生産機関である中国工程物理研究院で働いている。

DWの調査は、過去10年間にテクノロジーなどの分野でドイツで長期研究を行ってきた中国のトップ研究者が、少なくとも80人いることを確認した。

ドイツの「マックス・プランク物理学研究所」のデータによると、現在、中国の科学研究分野では、指導的立場にある専門家の約3分の1は、ドイツで学んだ経験を持っているという。

ドイツ外交問題評議会の上級研究員であるDidi KirstenTatlow氏は、「中国人訪問学者への開放的な姿勢は、大きな安全保障上のリスクをもたらす」と指摘した。

中国の習近平国家主席は17年に、中国を50年までに世界を主導する大国に引き上げるためのロードマップ(行程表)を示している。

そのため、中国は科学技術分野に多くの資源を投入し、民間資源の軍事利用などを推進する「軍民融合」を進め、愛国心は科学者の義務だと強調している。

現在ドイツには約6万人の中国人学者が学んでいる。

(翻訳編集・李凌)

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