5月26日、国連安全保障理事会は、北朝鮮に対する制裁を強化する米国主導の決議案の採決を実施したが、中国とロシアが拒否権を行使し、否決された。写真はソウルのテレビに映し出された北朝鮮についてのニュース。25日撮影(2022年 ロイター/Kim Hong-Ji)

国連安保理、北朝鮮制裁決議案を初の否決 中国・ロシアが拒否権

[国連 26日 ロイター] – 国連安全保障理事会は26日、北朝鮮に対する制裁を強化する米国主導の決議案の採決を実施したが、常任理事国である中国とロシアが拒否権を行使し、否決された。

安保理は2006年以降、北朝鮮の核・ミサイル開発の資金源に打撃を与えるために全会一致で同国への制裁を強化してきたが、制裁決議案が否決されたのは、これが初めて。

15カ国で構成する安保理の残りの13カ国は賛成票を投じた。

米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は、安保理にとって「残念な日」になったとコメント。

同氏は安保理で、北朝鮮が世界にとって「明白かつ現在の危険」になっていると強調し、安保理の自制と沈黙は脅威を減らすどころか北朝鮮を勢いづかせていると述べた。

また、北朝鮮が年初から大陸間弾道ミサイル(ICBM)を6発試射し「核実験に向け精力的に準備を進めている」との米国の分析を明らかにした。

北朝鮮は25日、ICBMを含むミサイル3発を発射した。バイデン米大統領のアジア歴訪が終了したばかりだった。

ロシアのネベンジャ国連大使は、北朝鮮に対する追加制裁は「袋小路に入る道」だと主張。

中国の張軍国連大使は、制裁強化はさらなる「負の影響と対立の激化」をもたらすだけだと強調した。

関連記事
韓国最大の太陽光発電メーカーであるハンファ・ソリューションズ傘下のQcellsは中国江蘇省啓東市にある工場を6月30日に永久閉鎖する。
北朝鮮のアニメスタジオが、制裁下にもかかわらず日本や米国の人気アニメーション制作に関与していることが、朝鮮半島の情報分析を行うシンクタンク「38ノース」が22日発表した報告で明らかになった。日本政府は先月、北朝鮮のIT技術者の関与について警告を発したばかり。北朝鮮が制裁を逃れ、日本市場に関与している実態が浮き彫りとなった。
米国政府が、北朝鮮が遺伝子操作を通じた生物学兵器を生産できる能力を保有しているという分析を発表した。
韓国を訪問している米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は16日、非武装地帯にある板門店を訪れ、ロシアと中国に北朝鮮の制裁逃れを擁護しないよう求めた。
最近、尹錫悅(ユン・ソクヨル)韓国大統領は国家安全保障の観点から韓国海洋警察に中国の漁船の強い対応を求めた。