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心臓老化が若年齢層化 健康な心臓を維持する2つの方法(2)

中高年の突然死が時々ニュースになりますが、循環器専門医の劉中平氏はこれが心臓老化と関係していると考えています。このような突然死の原因は、基本的には過労や昼夜逆転など、その内容が前回の記事であげた早期に心臓が老化する共通の特徴と一致します。

これらの原因により、心臓の機能が低下し、不整脈や心臓の機能の異常な低下が起こりやすくなり、死に至ることもあるのです。また、心臓の老化は、死亡率の高い病気である心不全を引き起こす可能性があります。

 

心臓の老化を食い止めるウォーキング、エクササイズ

しかし心臓が老化したといっても、それに対抗する方法があるので、安心してください。

劉中平氏は、心臓が老化に対抗するには、定期的な薬の服用、早寝早起き、高血圧のコントロールに加え、足を動かす運動をしたり、食生活の調整をすることも大切だと教えています。

1.ふくらはぎを動かす運動

ふくらはぎは、下半身の血液を心臓に戻す役割を担っているため、「第2の心臓」とも呼ばれており、血液を上半身に戻す過程には大きなエネルギーが必要であり、ふくらはぎの筋肉が大きな役割を担っているのです。

心臓の老化に対抗する運動としては、足を動かして少し心拍数を上げるのが一番です。「ふくらはぎに他の問題がない限り、運動をもっとすることをぜひお勧めします」と劉中平氏は言います。

例えば、つま先立ち、ウォーキング、階段昇降、サイクリング、スクワットなど、下肢を動かし、さらにふくらはぎの筋肉を鍛える運動は、すべて心臓の健康によいのです。

高齢者は歩くだけの人が多いですが、歩くだけでも運動効果が得られます。現在、多くの社会人は運動する時間がありません。そこで劉中平氏は実用的で簡単な方法を紹介しています。

仕事から帰ったら、すぐに家に入らず、家の周りを10~15分ほど歩き、汗をかいたら、家に帰ってシャワーを浴びてください。これは良い運動であるだけでなく、良いストレス解消にもなります。

欧米ではウォーキングと心臓の健康について多くの研究がなされており、短時間のウォーキングが心臓や心の健康に有効であることが分かっています。

2002年の『スポーツと運動における医学と科学』(Medicine & Science in Sports & Exercise)誌の研究によると、1日3回の10分間の早歩きと、1日1回の30分間の早歩きは、いずれも週5日行った場合、同じくらい心血管リスクと不安を減らす効果があることがわかりました。

2008年に『アメリカ臨床栄養学会誌』(The American Journal of Clinical Nutrition)に掲載された同様の研究では、3分間の早歩き10回と30分間の早歩き1回が、若い男性の食後脂質と収縮期血圧を減らすのに同等の効果があることが示されました。

 

短時間の早歩きは心臓や心の健康に良いという研究結果が出ています。(Shutterstock)

 

またふくらはぎをマッサージするのは、ウォーキングほどではありませんが、心臓にも良い受動的な運動です。ふくらはぎのマッサージは、塞栓症のリスクを減らすとともに、生まれつき血管が細い人や、座りっぱなしの仕事をしなければならない人などには、幾分か足の血行を良くすることが期待できます。

 

2.食生活の改善

また、油、砂糖、塩分を多く含む食事を避けることが大切です。辛いものも食べられますが、劉中平氏は、たとえば辛い鍋、辛味油、チリソースなど、多くの辛い食べ物は、油や塩分を多く含むことに注意を促しています。辛いもので味覚が刺激されると、その食べ物が塩辛いということを感じにくくなり、無意識のうちに塩分を摂りすぎてしまうことがあるからです。

次に、心筋の栄養素として知られている魚油と食物繊維を補給します。



米国心臓協会(AHA)は、オメガ3系脂肪酸を多く含むサバ、メカジキ、イワシ、サーモン、マグロ、ニシンなどの魚を週に2回以上食べ、脂肪を上手に摂取するよう推奨しています。そうすることで、心臓の血管の弾力性を保ち、血栓を減らすことができます。

2020年に『イギリス医学雑誌』(British Medical Journal)に掲載された大規模研究では、心血管疾患を持たない42万人を対象に、魚油の補給習慣と病気のリスクについて調査が行われました。その結果、魚油の習慣的な補給は、心血管疾患および全死亡のリスクを低減することが示されました。

 

魚油は心筋の栄養素として認められています。(Shutterstock)

 

食物繊維

野菜や果物の食物繊維は、血管壁に付着した油分を取り除き、血流を良くします。

2017年の『カイロプラクティック雑誌』(Journal of Chiropractic Medicine)の回顧性研究(調査開始より前の事象について研究する手法)では、1980年から2017年までの31本の論文がまとめられています。その結果、食物繊維を多く摂取している人は、心血管疾患の発症や死亡率が有意に低下することがわかりました。

劉中平氏は「これが心臓の仕組みであり、大切にすればよくなる」と結論づけています。

(翻訳:香原咲)

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