シンガポールで開かれた安全保障対話(シャングリラ・ダイアログ)で11日、オンライン参加するウクライナのゼレンスキー大統領(Photo by Roslan RAHMAN / AFP) (Photo by ROSLAN RAHMAN/AFP via Getty Images)

国際社会は侵攻発生前に行動起こすべき ウクライナ大統領、台湾有事念頭に

ウクライナゼレンスキー大統領は11日、英国の国際戦略研究所主催のアジア安全保障会議(シャングリラ対話)にオンラインで参加した。ロシアの侵略に抵抗する同国への支持を呼びかけるとともに、国際社会は台湾が侵攻される前に外交的支援を行うべきだと説いた。

会議参加者は質疑応答で「今日のウクライナは明日の東アジアになりえる」という岸田首相の言葉を引用し、中国共産党の経済的、軍事的圧力を受ける台湾をどのように守るべきか尋ねた。

「今日のウクライナの状況は、戦争を未然に防ぐためのあらゆる行動を国際社会が支持しなければならないことの一例に過ぎない」とゼレンスキー氏は答えた。

ゼレンスキー氏はまた、力で劣る国家が支援を必要としている場合には見捨ててはならず、外交決議案を出して支持を示すべきだと訴えた。「このような外交的行動は、戦争が勃発する前に行わなければならない」と付け加えた。

10日に開かれた米中防衛相会談でも台湾海峡をめぐる問題が議論された。オースティン米国防長官は中国の魏鳳和国防部長に対し、台湾周辺などにおける中国の軍事活動は「挑発的で不安定さを招くもの」だと非難した。さらに、「台湾海峡の平和と安定を守るのは米国の利益のためだけではなく、国際的な関心事」だと強調した。

魏鳳和氏は、米国が多国間主義を装った反中国ブロックを形成する傲慢な覇権主義だと応酬。同氏は12日にも、インド太平洋地域諸国の閣僚や防衛専門家の前で、台湾への圧力を正当化する発言をした。「台湾独立を追求する試みを断固として粉砕する」と述べた。

追記:6月14日11:30に内容を一部修正いたしました。

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