6月28日、米国を拠点とするサイバーセキュティー会社マンディアントが公表した報告書は、中国のビジネス利権にとって障害となる鉱業関連企業を標的にした情報工作活動が展開されていると指摘した。写真はボスニア・ヘルツェゴビナのゼニツァで3月撮影(2022年 ロイター/Dado Ruvic)

中国寄りの情報工作活動、米レアアースなど鉱業が標的=報告書

[サンフランシスコ 28日 ロイター] – 米国を拠点とするサイバーセキュティー会社マンディアントが28日公表した報告書は、中国のビジネス利権にとって障害となる鉱業関連企業を標的にした情報工作活動が展開されていると指摘した。こうした企業への反感をあおるため、ソーシャルメディアの偽アカウントが使われているという。

この種の活動は専門家の間では「ドラゴンブリッジ」として知られる。この数カ月でオーストラリアのライナスレアアース、カナダのアッピア・レアアース・アンド・ウラニウム、USAレアアースの3社の事業について、環境面や健康面の懸念をかき立てる投稿がツイッターとフェイスブックに大量に出回った。

中国のコンピューター緊急対応チーム(CERT)とワシントンの中国大使館はコメント要請に返答していない。

ライナスとアッピアはロイターに、情報工作活動についてはマンディアントから知らされたと話した。アッピアのトム・ドライバス最高経営責任者(CEO)は「何が起きたのか調べようとしたが、何も分からなかった」と述べた。

USAレアアース、フェイスブック、ツイッターの各社は取材に応じていない。

報告書によると、偽アカウントは今月、アッピアとUSAレアアースの両社が新たな採掘計画を打ち出したことを受けて攻勢を強めた。

ライナスについては、同社がテキサス州で計画しているレアアース処理施設を巡り抗議活動を呼びかけた。実際には抗議活動は起きなかったが、偽アカウントは無関係のマレーシアでの古い抗議活動の写真を投稿し、呼びかけが成功したかのように装った。

米国の中国産鉱物への依存度を引き下げることを目指す法律の制定を呼びかけたバイデン米大統領を名指しで非難した投稿もあったという。

マンディアントのバイスプレジデント、ジョン・フルトクイスト氏は「こうした活動には潤沢な資金と十分な人員を確保した組織が必要になる」と指摘。

マンディアントは、活動を展開している組織や人物を特定するのに十分なデータは得られなかったという。

フルトクイスト氏は、活動による影響は限定的とみられ、大半の偽アカウントは最近削除されたが、中国と競合する企業が将来、同じような攻撃の標的となる可能性があると警告した。

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