一緒に考えてみましょう「1型糖尿病」という病(1)

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(訳者注:1型糖尿病の多い北欧では、乳幼児期から乳製品を多く摂っているため、「乳幼児期から牛乳を摂取すると1型糖尿病の発症リスクが高くなる」との報告が、一部にあります。ただし、それに反論する報告も複数あり、はっきりしたことは分かっていません。本記事は、牛乳の問題性を指摘する意図はなく、あくまでも1型糖尿病に関する基本知識と、筆者の見解を示すものです)

糖尿病患者のうち約90%が、中年以後の肥満など生活習慣が誘因となる2型糖尿病です。
 

子供のころから発症する病

これに対して、1型糖尿病患者の大部分は幼児期あるいは青少年期から発症しており、成人以後に発症するケースは非常に少ないと言えます。

主な原因は、免疫細胞が自分の膵臓を攻撃することによってインスリン産生が妨げられる自己免疫の問題で、これは生活習慣の問題とは関係なく、遺伝的要因に関連しているとされます。

ここでは、米国の非営利組織「Physicians Committee for Responsible Medicine(責任ある医療のための医師会)」の栄養学専門家である私(徐嘉)から、「乳幼児期から牛乳を飲むことが1型糖尿病リスクの1つになり得る」ということを中心に、この病気についてお話ししたいと思います。

「牛乳との関連性」は?

膵臓から分泌されるインスリンを筋肉細胞のドアを開ける「鍵」に例えると、1型糖尿病では「もっている鍵の本数が少なすぎる」こと、 2型糖尿病では「ドア側のカギが壊れている」ことが問題になります。

どちらの場合も、エネルギーとなるブドウ糖が細胞のドアを通過して筋肉まで入っていけないため、全身に力が全く入らない状態になります。また、血糖値が異常に高くなることで毛細血管がひどく傷つき、深刻な合併症を引き起こします。

1型糖尿病と牛乳の相関関係は、その真偽もふくめて、かなり以前から注目されていました。

「牛乳の消費量が多い国ほど、1型糖尿病の発症率が高い」という紐づけについて、これを是認するか否かは慎重に判断するべきですが、確かに北欧のフィンランドスウェーデンノルウェーなどの国は、牛乳の消費量が多く、1型糖尿病患者の罹患率も高いというデータがあります。

 

腸のなかで何が起きているか

そこで「乳児期から牛乳を飲むと、その人の1型糖尿病のリスクが高まる」と言われるわけですが、そもそも1型糖尿病は自己免疫疾患であり、それは「腸からの漏れ」と密接な関係があるのです。

「腸からの漏れ」の主な原因は、腸内の非プロバイオティクス(善玉菌でない細菌)の過剰形成です。

非プロバイオティクスが過剰に増殖する原因は、成人であれば不健康な食習慣にあるのですが、乳児期および幼児期には腸壁が十分に成熟していないため、外因性の原因物質が腸から血液中に漏れて、体内の臓器などへ侵入しやすくなるのです。

そこで、完全に消化されていないタンパク質や病原性抗原が腸から血液中に漏出すると、それによって体の免疫反応が活発になります。ある特定の状況においては、この活発になった免疫系が「誤作動」を起こして、自身の正常な組織を攻撃し始めます。

これが自己免疫疾患です。つまり免疫系が正常に機能しなくなり、自分の体の組織を攻撃し破壊してしまうのです。

1型糖尿病について言うと、インスリンを産生する膵臓のランゲルハンス島(膵島)のβ細胞が、自身の免疫系によって攻撃されてしまいます。

これによってインスリンを十分に合成できなくなり、インスリン不足で血糖が筋肉細胞に吸収できない重大な病気、つまり1型糖尿病となるのです。
 

(次稿に続く)
(翻訳編集・鳥飼聡)

徐嘉