ファルコン9ロケットの上に積み上げられた軌道に乗る寸前のスターリンクのテスト衛星 (パブリックドメイン)

中共をも恐怖させるスターリンク KDDIのサービス開始はいつになるのか?

KDDIau)は5日、7月2日発生した大規模な通信障害について完全に復旧したことを発表した。完全復旧まで約86時間の時間を要し、KDDI史上最大の通信障害となった。

復旧するまでネット上では太陽フレアの暴走やサイバーテロなどいくつか考えられる原因が議論されていたが、イーロン・マスク氏が主導するSpaceX社のStarlink(スターリンク)の導入が原因ではないかという説が実しやかに取り沙汰されていた。

障害の発生の真因について15日、KDDIに尋ねてみたが、現在、対策会議を開いて原因を究明中であるとのことで未だ不明のようだ。この記事ではスターリンクについて触れてみたい。

昨年9月KDDIはSpaceX社が提供する衛星ブロードバンド、スターリンクと業務提携し、携帯電話基地局と基幹網をつなぐバックホール回線に利用していくことを通信会社として世界で初めて発表した。

山間部や離島など光ファイバー網の敷設が難しい山間部などでも、高速通信が可能になることからKDDIも大きな期待を寄せており、現在のところ、同社は山口衛星通信所(山口市)に無線局を新たに設け導入をすすめている。具体的にいつサービス開始されるかということについてKDDIに問い合わせたが、具体的な進捗の情報は得られなかった。

スターリンクの実力はロシアのウクライナ侵攻によって遺憾なく証明された。突然のロシア軍侵攻によりインターネット接続の遮断が生じる中、侵攻後2日後の2022年2月26日、ウクライナのデジタル担当大臣であるMykhailo Fedorov氏がTwitterで、SpaceXの創業者・イーロン・マスク氏に支援を要請した際。マスク氏は快諾し、ウクライナのインターネット環境は一気に向上した。

ウクライナの人々が戦火の中で撮影した生々しい映像を世界中に配信していたのは記憶に新しいところだが、スターリンクの存在が大きかったと言えるだろう。

スペースXが打ち上げた人工衛星は従来の通信衛星と比べると、高度500キロ強という格段に低い軌道を周回し、従来の通信衛星を活用する場合と比べて、高速大容量で通信できるのが特徴だ。

このように地上の通信インフラの整備が進んでいない、もしくは不可能な所に関してインターネットに接続できるスターリングは救世主的存在になっている。

ただ必ずしも皆がスターリンクのことを歓迎しているわけではないようだ。

昨年12月27日、スターリンクの衛星が、中国が建設中の宇宙ステーションとニアミスを起こしたとして、中共政府が国連宇宙部に苦情を提出した。

よく知られているように、中国では中国共産党の一党独裁の下、インターネット利用を統制しており、党に都合の悪い情報は、グレートファイアウォールの検閲に引っ掛かり、国民が触れられないようにしている。ところがSpaceXのスターリンクに加入すると誰もが自由にインターネットを利用できるようになる。

これは中共にとっては看過できない事だろう。世界最初の共産国家、巨大なソビエト連邦はゴルバチョフ大統領のグラスノチ(情報公開)であっけなく崩壊したと言われている。

自由にあらゆる情報へのアクセスを可能にするスターリンクの存在は敵に回すと、自らの独裁体制を脅かすものになりかねない。

 

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