2022年7月26日、台北市内で開かれたインド太平洋地域の安全保障について話し合う国際フォーラムにリモート形式で出席した谷口智彦氏。(台湾政府系シンクタンク遠景基金会のライブ中継画面)

安倍氏の外交政策顧問が警告「中国は2024台湾総統選挙を操ろうとしている」、台湾の一刻も早い国際組織加盟を呼び掛ける

慶応義塾大学大学院教授で、安倍晋三元首相の長年の外交政策顧問兼スピーチライターを務めた谷口智彦氏は26日、台北市内で開かれたインド太平洋地域の安全保障について話し合う国際フォーラムにリモート形式で出席した。「中国共産党のプロパガンダマシンは2024年の台湾総統選挙を操ろうとしている」と警告したうえで、中国の侵略を阻止するためにも、台湾は一刻も早く、より多くの国際組織へ加盟すべきだと提案した。

台湾外交部(日本の外務省に相当)と台湾政府系シンクタンクの両岸交流遠景基金会が主催した「ケタガラン・フォーラム 2022:インド太平洋地域安全保障対話」では、インド太平洋の安全と新冷戦構造を議題に取り上げ、同地域の関係諸国の政府要人や議員、学者、専門家らが討論を行った。今年のフォーラムでは特別に、米日台の議員の対話の場が設けられるなど、三者間の協力関係の重要性をアピールした。

日本からは河野太郎元防衛大臣、中山泰秀前防衛副大臣、鈴木馨祐衆議院議員らがリモート形式で参加した。

河野氏は「台湾有事となれば、日本は必ず影響を受ける」とし、日本は国際社会の同盟国に対して、民主主義などの価値観を共に守る決意を示す必要があると強調した。

谷口氏はスピーチの最初に、今月初めに凶弾に倒れ突然命を奪われた安倍元首相へ、台湾各界から寄せられた追悼に感謝を伝えた。そして「台湾問題」は安倍氏の最大の関心事の一つであったと話した。

国際情勢について谷口氏は、「中国共産党のプロパガンダマシンは、2024年の台湾総統選挙を操ろうとしている」とする考えを明かした。

また、中国の習近平国家主席が3期目の任期を迎えた後、中国人民解放軍の創設100年にあたる2027年までに、習氏は「中国ドリーム」を実現するために何らかの形で台湾を併合するだろうと分析した。「今後5年間は日本、米国、オーストラリア、インド、台湾など世界の民主陣営が政治や防衛などで協力し合う重要な時期だ」とした。

同氏はさらに、安全保障の面で台湾を軍事的に守る可能性が最も高い国は「日本と米国」だと述べ、台湾が中国に侵略されるのを阻止する方法は、より多くの国際機関への台湾加盟を加速させることだとした。

元豪国防相:台湾は中国共産党の拡張に対抗する最前線にいる

同じくフォーラムに参加したオーストラリアのケビン・アンドリュース(Kevin Andrews)元国防大臣は、「世界は習氏が主導し、中国共産党政権が発動した新冷戦に巻き込まれている」と指摘した。

さらに、世界の民主陣営は「台湾は中国共産党の拡張に対抗する最前線にいる」という事実を直視したうえで、台湾防衛の関与を明確にするよう呼び掛けた。

安倍氏も昨年末に「台湾有事は日本有事。すなわち日米同盟の有事でもある」と発言し、今年2月にも、台湾有事の際に介入するかどうか明確にしない「あいまい戦略」を採用する米国に対して、関与を明確にするよう呼び掛けていた。

(翻訳編集・李凌)

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