【神話伝説】龍女の伝説(下)

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牛を捨てて族を助ける

中国の民間では、龍族は神獣として崇拝されています。しかし、別の言い伝えによると、龍族は人間の身体を非常に羨ましく思っているというのです。

昔、離車という人は龍族を殺すことを稼業とし、龍の肉を食べていました。ある日、離車は1匹の龍を捕らえ、その鼻に紐を通して牛のように引っ張りながら歩いていたのです。

その時、8頭の牛を歩かせている商人が引っ張られている龍を見かけ、龍が離車に殺され、食べられると知り、憐れんで龍と引き換えに牛1頭を渡すと申し出ます。しかし、離車は商人のすべての牛を要求しました。商人はその要求を受け入れ、8頭の牛をすべて離車に渡しました。

離車が後悔して再び龍を追いかけてくることを心配した商人は龍を少し離れたところにある湖に放します。すると、龍は突如人間の姿に変わり、商人にこう言ったのです。
「そなたは我が命を助けてくれた。その恩を返すため、我とともに龍宮に入ることを許そう」

しかし、商人は少し心配して、龍にこう言います。
「龍族は率直な性格で、怒りがちだと聞きましたので、私を殺すかもしれません」

これを聞いた龍はこう答えます。「その心配はなかろう。我はすでに受戒(戒律を受けること)しており、ましてや、そなたは我が命を助けた。危害を加えたりはしない」

龍宮へやってくると、中から龍女が出てきて、商人を迎え入れます。この時、商人は自分が助けたのは龍女であったことを知りました。

厳粛で壮麗な龍宮を見て、商人はあることを疑問に思い、尋ねます。
「これほど壮観な住処を持っていて、数々の宝物を有しているのに、なぜ神佛が定めた戒律を受けなければならないのですか」

これに対し、龍女はこのように答えました。「我々龍族は5つの状況で最も苦しみます。生まれる時、眠りにつく時、雨を降らせる時、怒る時、そして、死ぬ時です」
だから、龍女は修行を経ていつか人間の身体を手に入れることを望んでいるのです。

命を助けた礼に、龍女は商人に8つの金貨を与え、その後、家に帰してあげました。

家に戻った商人は家族に金貨とともにこのことを話しました。これほどの金貨があれば、商人だけでなく、その家族も一生楽して暮らしていけます。
(完)
参考資料:
『法苑珠林』「第九十一」

(翻訳編集 天野秀)

洪熙