8月3日、台湾の松山空港から離陸するペロシ米下院議長率いる議員団を見送る台湾の市民 (Photo by Annabelle Chih/Getty Images)

政府、中国軍事演習に「重大な懸念」 自衛隊は警戒監視を継続

中国軍が4日から7日にかけて台湾周辺で行なっている軍事演習について、松野官房長官は記者会見で「重大な懸念を有している」と指摘した。日本の近海に訓練区域が設定されているため「仮にそのような場所で実弾演習を行うのであれば、我が国及び国民の安全保障に影響しうる」と述べた。

台湾では、3日にナンシー・ペロシ米下院議長が蔡英文総統と会談を終えたばかり。中国軍が台湾を取り囲むように6つの演習区域を設定したことに対し、台湾側は「空海域を封鎖したも同然だ」と批判した。台湾から約110キロの位置にある日本最西端の与那国島でも不安視する声が上がっているという。

これに対し松野氏は「中国側による一連の軍事演習は我が国を含む地域の平和と安全を損ないかねないものであり、その観点から我が国から中国側に対して重大な懸念を表した」と述べた。

松野氏は「我が国の近海に訓練区域が設定されており、仮にそのような場所で実弾演習を行うのであれば、我が国及び国民の安全保障に影響しうるものであり、その点からも重大な懸念を有している」と指摘。日本政府として「両岸問題の平和的解決を強く促していきたい」とした。

その上で、防衛省・自衛隊については「中国軍の動向について引き続き注視しつつ、警戒監視、情報収集を継続するとともに、状況を注視し、対応に万全を期していく」と述べた。

なお、ペロシ氏と蔡英文氏の会談について、松野長官は「承知しているが、同会談を含め、ペロシ会員議長の海外訪問を含め、日本政府は説明する立場にはない」と述べた。

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