ペロシ氏訪台後、沈黙の習近平氏 「今後党内の圧力に直面」

ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問をめぐり、習近平国家主席は公の場でコメントをまだ述べていない。習近平指導部は現在、引退した長老らと河北省のリゾート地、北戴河に集まり、非公式会議に参加しているとみられる。

中国政府系メディアなどが公表する最高指導部の動静情報は、習近平氏を含む共産党中央政治局常務委員7人が7月31日、国防部(省)主催の中国軍建軍95周年記念行事に出席したことにとどまっている。8月1日と2日の動静は伝えられていない。

中国政治に詳しい豪シドニー工科大学の馮崇義教授は、「中国指導部のメンバーらは北戴河会議に出席している可能性が高い」と大紀元に語った。

中国共産党の現職指導者や引退した長老、一部の学者が毎年8月ごろ、北京から約270キロ離れた北戴河に集まり、党内幹部の人事や重要政策などについて議論を交わす。参加者や日程などは非公開となっている。

ペロシ下院議長の台湾訪問への対抗措置として3日、中国軍機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入した。4〜8日に台湾を取り囲むような形で大規模な軍事演習を実施する。

大紀元コメンテーターの李林一氏は、「習近平氏は北戴河会議で何らかの指示をしただろう。強い態度を示さなければ、党内の反習勢力に攻撃される。ペロシ氏の台湾訪問は、中国共産党内の権力闘争に大きな変化をもたらす可能性がある」と分析し、習氏は今後党内の批判にさらされる可能性を示唆した。

台湾・淡江大学の鄭欽模准教授は、「今年秋開催の党大会で3期目の続投を狙う習近平氏は、党内の圧力から米国に対して強硬姿勢を示さざるを得ない。ただ、党大会をスムーズに開くために、さらなる軍事行動を望んでいない」と分析した。

産経新聞台北支局長の矢板明夫氏は2日、自身のフェイスブックを更新し、「世界中の注目を集めたペロシ氏の訪台は、北戴河会議中の習近平氏のメンツを丸潰れにした。戦狼外交を中心に進めてきた近年の対米、対台外交政策の失敗を意味する」と分析した。

 

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