中国の盧沙野駐フランス大使。2019年8月26日撮影。 (GUILLAUME SOUVANT/AFP via Getty Images)

「統一後、台湾人を再教育する」在仏中国大使の発言が物議

中国の盧沙野・駐フランス大使は3日、仏メディア「BFMTV」の番組に出演した際、米国のペロシ下院議長台湾訪問を強く批判し、台湾を統一すれば「台湾人を愛国者に変えるための再教育を行う」と発言した。

盧大使はペロシ氏の台湾訪問は「役に立たない挑発だ」と非難した。

これに対して、番組司会者のアラン・マーシャル(Alain Marschall)氏は「台湾には自治権があり、台湾の総統は何をすべきか、誰に会うべきかを自ら決めることができる」と指摘した。

盧氏は「台湾は主権国家ではない。フランスも米国も台湾を国家として認めておらず、(台湾は)中国の自治区である」と反論した。

また、同大使は中国軍が台湾を取り囲むような形で軍事演習を行っていることについて、「地域の緊張を高めたのはわれわれではなく、米国だ。今回の訪問がなければ、地域情勢は平穏であるはずだった。われわれは挑発に対処しているだけ」と米側を強く批判。

同大使は、20年前には台湾市民は中国本土との統一を支持していたが、「与党民進党のプロパガンダ」で台湾世論の見方が変わったとした。「中国が台湾を統一し再教育を行えば、台湾市民は再び愛国者になり、統一を支持するようになるだろう」という。

ツイッター上では、中国人ユーザーらは「中国は『再教育』を新疆から中国全土、台湾まで進めるつもりだ」「恥知らず」「ぞっとする」などと同大使の発言を批判した。

同大使は、これまでも強硬な発言を繰り返す戦狼外交官の1人として知られている。2020年4月、大使館のホームページで欧米諸国のウイルス対策を批判。「欧米は中国での感染拡大後のこの2カ月間、何をしていたのか」「介護施設では職員が職場放棄し、高齢者を飢えと病気で死ぬがままにしている」などと事実無根の主張を展開し、フランスの外相から抗議を受けた。

昨年3月にも、台湾訪問を予定している仏議員に対して、大使館がこの議員に手紙で訪台中止を求めたほか、大使館の対応を批判した仏学者をツイッターで「ごろつき」と批判した。

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