缶詰をそのまま食べないで! こう調理すれば健康になる

感染症が流行すると、多くの人が食料を備蓄するようになりました。長期保存が可能な缶詰は、当然ながら備蓄品の上位にランクインしていました。

缶詰はすぐに食べられ、賞味期限が長いという利点がありますが、栄養価が低く、保存料も入っているため、人体に有害な加工食品というイメージもあります。缶詰は本当にダメなのでしょうか?健康的な食生活を送るにはどうしたらよいのでしょうか?
 

大丈夫、缶詰は意外と栄養があるんです

台湾栄養基金会のCEOである呉映蓉博士は、缶詰が「不健康」であるという認識は不正確であると述べています。

実は、缶詰は防腐のために防腐剤を添加する必要はないのです。缶詰の製造工程では密封と高温殺菌が採用され、食品を無菌状態にして腐敗を防いでいます。

缶詰は高温になるため、栄養成分が損なわれるのではと心配される消費者もいます。実は、人々が普通に料理を加熱しても、栄養素が同じように失われてしまうのです。例えば、肉をオーブンで長時間焼いたことで失われる栄養素は、缶詰にすることで失った栄養素と比べて大差ありません。ただ、自分で調理すれば、温度をコントロールすることはできます。

脂溶性のビタミンA、D、E、Kや、炭水化物、タンパク質、脂質、ミネラルは、高温で缶詰にすることでより多く保持されます。

野菜や果物には、高温で失われる水溶性ビタミン(ビタミンCやビタミンB群)が多く含まれているので、新鮮なうちに食べるのが一番です。特に缶詰の果物は、加熱すると最も栄養が失われます。

一般的な野菜の缶詰には、コーン缶やトマト缶などがあります。トウモロコシに含まれる抗酸化物質であるルテインやゼアキサンチン、気道の粘膜の修復を助けるビタミンAは脂溶性で、缶詰になっても失われにくい性質を持っています。呉映蓉さんは、自分で料理を作る際、コーン缶を好んで使っているそうです。

トマトをトマトペーストにして缶詰にすると、がん予防に役立つリコピンが増えます。台湾がん基金会によると、リコピンは高熱調理でも壊れにくく、無塩のトマト缶ではリコピンが3~4倍に増えるそうです。

 

缶詰は、脂溶性のビタミンA、D、E、Kや、炭水化物、タンパク質、脂質、ミネラルなどが失われないよう、高温で加熱されています。 (Shutterstock)

 

新鮮な肉や魚には、ビタミンB群が豊富に含まれており、缶詰にするとこの栄養素が失われます。しかし、肉や魚の主な栄養素は脂溶性ビタミン、ミネラル、脂質、タンパク質であり、これらの栄養素は損なわれません。
 

調味料を使わず、栄養をプラスするために新鮮な食材と一緒に食べる

缶詰には栄養素がしっかり残っていますが、以下の2つの問題点があります。

1.製造工程が見えない:自分で生鮮食品を買うと選べますが、缶詰に使われる肉の品質や鮮度は知る術がありません。ただし、有名ブランドのメーカーは通常、品質が信頼できます。

2.濃い味付け:自分で調理すれば調味料の量をコントロールできますが、缶詰は塩分や脂肪分が多く、濃い味付けになっています。

缶詰は直接食べず、生の食材と一緒に炒め、缶詰の油と塩を利用して、調味料を増やさずに料理全体の味を調整するのがベストです。

どんな缶詰でも生の食材と組み合わせることができます。缶詰料理をいくつか紹介します。

●ツナ入りスクランブルエッグ

ツナを入れる前に、ツナ缶の油を使って卵をスクランブルエッグにします。

ツナ缶自体に塩味があるので、卵と一緒に炒めると缶詰の塩分が薄まります。さらにコーンを加えると、食感と甘みが増します。

● トマトとミートソースのパスタ

① パスタは数分茹でておく。

② ボロネーゼソース缶にはすでに油が入っているので、ボロネーゼソースと一緒にニンニクを炒める。 トマトペースト缶を加えてさっと炒め、パスタを加えて混ぜる。

このパスタには、さらに青菜などの野菜を加えて彩りを添えてもいいし、呉映蓉さんは、玉ねぎやマッシュルームを一緒に炒めると「おいしいし、味付けもしなくていい」と勧めています。この料理は缶詰が2缶必要なので、パスタは多めに、例えば3人分茹でたり、缶詰は全部入れないようにします。

●鰻の手巻き寿司、鰻のおにぎり

にんじんやカリフラワーなど、家にある野菜と鰻を加えて巻き寿司やおにぎりにします。

 

缶詰を調理する時は、調味料を入れないことに加え、肉の缶詰には生野菜を加えるなど、栄養のバランスが大事です。(Shutterstock)

 

缶詰の味付けを濃くしないこと以外に、もう一つ重要なポイントは、バランスの良い食事をすることです。 肉の缶詰は生野菜と一緒に、野菜の缶詰は肉と一緒に調理するのがおすすめです。例えば、缶詰の千切りタケノコはスライスした肉と炒めます。
 

分量と回数に注意、缶詰を食べるときの2つのポイント

加工食品と同様に、缶詰のパッケージにも5′-ヒポキサンチンリン酸二ナトリウムや5′-グアニンリン酸二ナトリウムなど、一般の方にはわかりにくい添加物がたくさん書かれているものがあります。

呉映蓉さんは、いずれも合法的な添加物であり、オイスターソースやコンソメに含まれると説明しています。しかし、合法的に添加されているものは安全ではありますが、「毎日たくさん食べると安全とは言えない」と強調しました。

添加物が含まれているため、缶詰の量や回数に気をつけることが大切です。呉映蓉さんは、日常の食事は缶詰ではなく、新鮮な食材を食べるようアドバイスしています。ツナ缶は週に1回、他の新鮮な食材と一緒に食べるならいいですが、毎日食べるのはよくないとのことです。

(翻訳・井田千景)

蘇冠米