現代中国キーワード(大紀元エポックタイムズ・ジャパン)

煮ても焼いても「炒房」は食えない 中国不動産バブル【現代中国キーワード】

チャーハン(炒飯)はおいしく食べられるが、発音がよく似たこちらの中国語「炒房(チャオファン)」はいただけない。この場合の「房」は住宅を指す。

それにしても、中華鍋を振ってチャーハンを作るように「住宅を炒める」とはよく言ったものだ。「炒房」とは、不動産(とくに住宅)を投機目的で売買して、巨利を得ようとする風潮を指す。

2003年ごろから始まった中国の不動産バブルの初期から出現した言葉であるが、今またこの「炒房」が、不動産にからむ損失のキーワードとしてよく聞かれるようになった。

バブル期の日本でも「土地転がし」や「地上げ屋」など、不動産に関して、いくぶんダーティな響きをともなう社会現象が起きていた。

しかし、「日本のそれと同じ」といっては正確な説明にならないだろう。

中国の「炒房」は、人々の狂乱ぶりからして、日本のバブル期よりもはるかにすさまじかった。とにかく将来値上がりするとみた物件に対して、中国人の個人投資家が猛牛のような勢いで群がったのである。

彼らは、未着工の物件を争って買い、未完成の段階で転売しようとした。

中国の各所に、入居者の全くいない「鬼城(ゴーストタウン)」が無数に出現したのは、コロナ禍のせいばかりではない。そして今、購入者のローンだけを残して、工事が中断されたまま放置されているマンションが、巨大な亡霊のように林立している。

道徳なき経済は滅びる。欲望の果ての報いが、この現実である。

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