史上最高のチェスプレーヤーと評されるマグヌス・カールセン氏。2021年1月27日撮影(Photo by Dean Mouhtaropoulos/Getty Images)

国際チェス連盟が疑惑調査へ…挑戦者、不正は「過去100回以上」か

国際チェス連盟(FIDE)は9月30日、世界王者マグヌス・カールセン氏が主張する、挑戦者ハンス・ニーマン氏の不正疑惑を調査する調査委員会を発足すると明らかにした。チェス界を揺るがす騒動となったが、ニーマン氏には別の対局分析報告で過去100以上の不正疑惑が指摘されている。

世界チェス選手権を5回優勝しているカールセン氏は9月4日に行われたシンクフィールド・カップでニーマン氏に敗れたのち、大会を棄権した。ニーマン氏の「駒の進め方は普通ではない」と主張するなど、大会の主催者に対してセキュリティ対策の強化を求めていた。

FIDEの声明によると、委員会はフェアプレー委員会の3人で構成され、分析が必要な場合は外部の専門家との協議を求める可能性もあるとした。調査はニーマン氏の不正疑惑に関するカールセン氏の主張の確認と、オンライン不正に関するニーマン氏自身の発言の2つに焦点を当てるという。

カールセン氏は9月26日に自身のツイッター投稿した声明で、「チェスにおける不正行為は競技の存続に関わる脅威だ」「ニーマン氏は公に認めているよりも多くの、しかも最近はより多くの不正をしていた」と非難した。不正の詳細は明らかにしていない。

ニーマン氏から明確な許可を得ずにオープンに話せることは限られているとした上で、「ニーマン氏とはプレーしないことを表明する」「真実が明らかになることを願っている」と心情を綴った。

不正は「過去100回以上」との指摘も

ニーマン氏は、12歳と16歳の時の計2回、電子機器と使って不正行為をしたことを認めているものの、それ以降は不正を働いたことはないと主張している。

一方、ニーマン氏自身が弁明するよりもはるかに多くの不正があるとの報告もある。世界最大のインターネット・チェス・プラットフォーム「Chess.com」が同氏の過去対局を検証したところ、2020年までに100余りの違法な支援を受けていた可能性が高いという。ウォール・ストリート・ジャーナルが4日、報じた。

Chess.comによる72ページの報告書によれば、対局中に選手が別のブラウザを開く頻度の測定、チェス解析ソフトが予測する動きとの比較を行った。不正が疑われた対局には賞金のかかった大会もあったという。不正疑惑を受けて、Chess.comはニーマン氏のアカウントを凍結した。

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