2019年10月9日、北京の人民大会堂で開催された歓迎式典で儀仗兵の前を歩くソロモン諸島のソガバレ首相と中国の李克強首相 (Wang Zhao/AFP via Getty Images)

中国共産党、ソロモン諸島で偽情報拡散…米豪との関係悪化図る=豪報告書

オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)は5日、ソロモン諸島とオーストラリア、米国との関係を悪化させることを目的に、中国共産党が偽情報の流布などを用いた影響工作を行ったとする報告書を発表した。

報告書は、2021年11月のソロモン諸島での抗議デモ以降、中国共産党はプロパガンダと偽情報を駆使し、安全保障問題と外国パートナーに対するソロモン諸島国民の認識を形成しようしてきたと指摘した。中国共産党の地域安全保障の目的に沿って、これらのメッセージはソロモン諸島の豪州や米国とのパートナーシップを弱めることに強く焦点を合わせている。

その一例として、豪州や米国、台湾がソガバレ首相の退陣を求める抗議デモを扇動したと中国が非難したことを挙げた。抗議デモ後の数週間、中国政府は「下心のある外国勢力」がソロモン諸島と中国の関係を貶めようとしているとのシナリオを積極的に推し進めていたという。

「中国国営メディアや中国当局の声明を通して報道されたシナリオは、地元のメディアや中国大使館によって拡散された」と報告書は指摘する。

また、中国とソロモン諸島との安全保障協定の草案が豪メディアに暴露された後、中国共産党は「ソロモン諸島とオーストラリア、米国の関係をさらに弱体化させようとした」と記した。中国がソロモン諸島を軍事拠点として運用するなどを理由に米豪が草案に懸念を示すなか、中国は「豪州と米国はソロモン諸島の主権を脅かす植民地主義者のいじめっ子」というシナリオを押し付けていた。

計18週間に及ぶ調査期間のなか、中国国営メディアはソロモン諸島の出来事について合計67本の記事を掲載した。うち47本(70%)は、ソロモン諸島の既存の関係(主に米国とオーストラリアとの関係)を損なおうとする中国共産党のシナリオを直接的に支持する記事だった。

さらに、中国共産党はソロモン諸島の国民意識に影響を与えるために、従来の外交チャンネルも数多く利用しているという。その中でも最も懸念すべきは「中国共産党幹部主導による現地メディアへの寄稿」だと指摘した。

「これらの出版物は、信頼できる地元メディアに掲載され、中国共産党のメッセージをより多くの読者に広めることができ、結果として浸透と関与を高めた」「ソロモン諸島での抗議デモの場合、中国共産党の関係者は、ソロモン諸島の政府関係者とほぼ同数の声明を地元メディアに発表していた」という。

こうした中国共産党による偽情報キャンペーンに対処するため、豪政府は偽情報に関する公的調査により多くの資源と投入するほか、米国や日本、欧州連合(EU)などと協力して質の高いプロのジャーナリストの雇用、訓練、保持を支援する必要があると述べた。

(翻訳編集・山中蓮夏)

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