米国保健福祉省の建物。2019年7月22日撮影 (Photo by ALASTAIR PIKE/AFP via Getty Images)

米政府、422億円相当の放射線治療薬を購入 核緊急事態に向けた取り組み

米国の保健福祉省(厚生省に相当)は放射線・核緊急事態に備えるため、2億9000万ドル(約422億円)相当の医薬品を購入する。同省内局の戦略的準備対応局が4日、発表した。

戦略的準備対応局は、未来の災害や公衆衛生上の緊急事態への備えを任務とする。今回の薬品購入は「放射線および核緊急事態における人命救助に向けた、長期的かつ継続的な取り組み」の一環であるという。

保健福祉省は、カリフォルニア州サウザンドオークスに本社を置くバイオテクノロジー企業のAmgen社から、Nplateという薬剤の備蓄を購入している。

Nplate(製品名:ロミプロスチム)は、成人および小児の急性放射線症候群(ARS)に伴う血球障害の治療薬として、2021年1月に米国食品医薬品局から承認されたものである。

ARSは放射線病とも呼ばれ、わずか数秒で内臓まで到達し、「全身が高線量の透過性放射線に曝された時に起こる」病状とされている。血小板減少により血液が固まりにくくなり、止血が困難となって重篤状態にいたる。

Nplateは、体内でより多くの血小板の産生を促し、放射線症候群が引き起こす出血を抑える効果をもつ。

戦略的準備対応局の発表によれば、Nplateを2億9000万ドル分、薬剤備蓄のために購入した。保存期間と備蓄を連動させるため、Amgen社がこの在庫管理を担うという。

米国では2004年にプロジェクト・バイオシールド法を成立した。化学や生物学、放射線学、核兵器による脅威に対処するため、民間企業にワクチンやその他の対応策の開発を奨励している。

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