「残杯冷炙」(ざんぱいれいしゃ)【1分で読める故事成語】

「残杯冷炙」(ざんぱいれいしゃ)は、貧しい食事や食べ残しという意味で、ひどい待遇や冷たい扱いをされて、恥辱や屈辱を受けた時のたとえです。

唐の第6代皇帝・玄宗は晩年の頃、楊貴妃を寵愛しました。ある年、人材を集めるため、科挙が開かれました。

当時、36歳の詩人・杜甫はちょうど長安にいたので、この知らせを聞き、大いに喜びました。しかし、結果発表の日、試験官は誰一人合格しなかったと発表したのです。試験官は玄宗に、「国の人材はすでに陛下の所に集められました。誰一人漏れていません」と報告したのです。

一方、ショックを受けた杜甫は、生計を立てるため、「食客」として高官や身分の高い人たちの間を行き来し、居候するしかありませんでした。彼はよく貴族や有力な大臣たちが開く宴会に参加し、座を盛り上げるために詩を作りました。このような暮らしは9年ほど続いたのです。

杜甫が書いた詩の中に「残杯冷炙」が使われ、当時の自分のみじめな生活を現しています。

そして、間もなくして安史の乱が始まり、杜甫はさらなる悲惨な流亡生活を送ることになったのです。

(翻訳編集 天野秀)

一斗