王滬寧中国共産党中央政治局常務委員(WANG ZHAO/AFP/Getty Images)

「三朝帝師」王滬寧氏の進退めぐり憶測 共産党大会 最高指導部人事

3期目続投が確実視されている習近平新政権の人事をめぐって、憶測が飛び交っている。党最高指導部、政治局常務委員の1人である王滬寧氏の進退が注目を集めている。

同氏は主要ブレーンとして江沢民・胡錦涛・習近平政権を支え、「三朝帝師」の異名をもつ。これまでに江沢民氏の指導思想「3つの代表」、胡錦涛氏の「科学的発展観」など重要理論や新スローガンを起草し確立した。

香港の親中メディア、サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は、王滬寧氏は中央政治局常務委員に留まり、全国人民代表大会常務委員長(国会議長に相当)に就任する可能性が高いと報じた。

同紙は、政治哲学者である王氏は習近平政権が提唱する「中国の夢」の考案者の1人だとし、習氏の3期目を支えるブレーン・グループの「古株になる」との見方を示した。

SCMP紙は、現中央政治局常務委員7人のうち、栗戦書全国人民代表大会常務委員長、韓正副首相と李克強首相は常務委員を退任する可能性が高いと予測した。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、王滬寧氏は留任する見通しと報じた。新指導部は習近平氏、王滬寧氏、趙楽際党中央規律検査委員会書記、李強上海市党委書記、李希広東省党委書記、丁薛祥党中央弁公庁主任で構成されるという。同紙は、習氏は指導部を側近で固める計画だと伝えた。

いっぽう、台湾紙・聯合報は王滬寧氏が引退する見通しと報じ、習近平氏、李克強氏、汪洋氏、趙楽際氏、丁薛祥氏、陳敏爾重慶市党委書記、胡春華副首相が新たな中央政治局常務委員に選出されるとの見方を示した。「共青団派」とされる李克強氏、汪洋氏、胡春華副首相が指導部入りすれば、習氏は上層部人事をめぐる権力闘争で譲歩したことになる。

復旦大学の教授だった王滬寧氏は1995年、当時の江沢民主席に見出され政界入りしたが、どの派にも属さない姿勢を貫いていた。習近平政権では愛国主義や民族主義を強調する路線を取り、西側との対立を引き起こした張本人とも言われている。

 

 

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