米ニューヨークにある国連本部 (Photo credit should read LUDOVIC MARIN/AFP via Getty Images)

ESG投資に一石投じる…米19州、ネットゼロ投融資を推す主要6銀行に調査

米19州の司法長官は19日、国連の提唱する新たな金融セクターと地球温暖化対策の取り組み「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」に異論を呈し、NZBAに加盟する大手金融機関に対して民事調査請求を行う。

NZBAは温室効果ガス排出量実質ゼロ(ネットゼロ)の実現を目指す新しい金融アライアンス。世界の大手銀行43行で構成され、ESG(環境・社会・ガバナンス)に考慮した投融資ポートフィリオを作成し、2050年までのネットゼロ達成を目指している。

19の州はNZBAに加盟する6つの主要な米国金融機関、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ゴールドマン・サックス、JPモルガンチェース、モルガンスタンレー、ウェルズ・ファーゴに対する民事調査請求を行う。米司法において、この請求は訴訟の前段階にあたるとみなされている。

ミズーリ州検事総長のエリック・シュミット氏は声明で以下のように述べている。

「NZBAは、国連が監督する主要銀行が世界規模で結んだ大規模な協定である。その目的は、化石燃料関連事業に従事する企業の国内および国際市場での信用を失わせるためだ」「州の農家や石油リース会社など、州と米国の経済に不可欠な事業体は、このアライアンスのために融資を受けることができなくなるだろう」

シュミット氏は、もし企業が気候変動問題に賛同していなければ金融サービスから締め出されてしまうと、NZBAの不公正さを指摘。加盟する6行について「米銀行は米国の法律に責任がある」とし、「国際機関に米国のビジネスの基準を決めさせない」と民事調査請求の意義を強調した。

名を連ねるのはアリゾナ、アーカンソー、インディアナ、カンザス、ケンタッキー、ルイジアナ、ミシシッピ、モンタナ、ネブラスカ、オクラホマ、テネシー、テキサス、バージニアだ。多くは共和党知事だが民主党も含む。

NZBAへの加盟にあたり、州は金融機関に対して「地球温暖化防止活動への参加と関与、最初に参加した日、地球温暖化防止活動に対して行った約束、誓約、その他の公約、そのような公約に従って行った行動、継続中の活動、地球温暖化防止活動の担当管理者」などを問いただしている。

シュミット氏の発表は、ESGをめぐる大手金融機関と米国各州との間で長年続いてきた対立の最新の一撃となった。

ウェストバージニア州のライリー・ムーア州財務長官は、ESGの原則に従っている金融機関から州の資金を移すことを求めている。

コンシューマーズ・リサーチのエグゼクティブ・ディレクターであるウィル・ヒルド氏は、この調査に指示を示した。「州は、大手銀行の明らかな違反行為と、ESGの名の下に非常に疑わしい気候変動対策を売り込んでいることの責任を追及している。これらはすべて、米国の消費者を犠牲にして米国のエネルギーに障害を与えようとする共謀的な企みの一環だ」

大紀元は6つの金融機関に問い合わせた。JPモルガンチェースはコメントを控えた。他のどの銀行もプレスタイムまでに回答はしていない。

(翻訳・大室誠)

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