英国政府通信本部(通称GCHQ)のジェレミー・フレミング長官 (Photo by ROSLAN RAHMAN/AFP via Getty Images)

英国諜報部門のトップ、中国の台頭を世界最大のセキュリティリスクと警告

英国のサイバーインテリジェンス部門長官は、中国が「国際安全保障の規則を書き換えようとしており」、中国政府はその経済的および技術的影響力を国内での弾圧に用いるとともに、海外でも主導権を得ようとしていると警告した。

欧州ではロシアのウクライナ侵攻以来、戦争が激化しているにもかかわらず、英国政府通信本部(通称GCHQ)のジェレミー・フレミング長官は10月に中国の台頭が「我々の未来を決定する国家安全保障問題」であるとの見解を示した。

シンクタンク、ロイヤル・ユナイテッド・サービス・インスティテュートでの講演でフレミング氏は、中国共産党が「世界のテクノロジー・エコシステムを形作ることで戦略的優位性を獲得しようとしている」と主張した。

「テクノロジーに関しては、中国国家の政治的動機による行動は我々が認識し、対処しなければならない問題で、その緊急性は高まりつつある」とし、 「中国の行動は国家の安全保障に関する定義をもっとはるかに広範囲にわたる概念に変えつつある。 テクノロジーは、競争や協働のための機会を提供するだけでなく、価値観や影響力をめぐる支配権争いになっている」と語った。

フレミング氏によれば、中国共産党の一党体制は中国国民を支配しようとしており、他の国々を「潜在的な敵国、または脅迫、賄賂、教唆の対象となる潜在的なクライアント国のいずれか」と見なしている。

この講演前、中国共産党高官は、中国の技術開発は中国人の生活を向上させようとするもので、脅威にはならないと述べていた。

近年、英国と中国との関係は冷え切っており、英国関係者は中国側の経済的な口実と人権侵害を非難している。

英国の諜報当局者の間では、中国政府の影響力と意図についてますます否定的な見方が強まっている。 2021年に同国の海外諜報機関であるMI6のトップは、中国を英国とその同盟国にとって最大の脅威の1つと呼んだ。

2020年には英国は米国に続き、セキュリティリスクとして中国のテクノロジー企業ファーウェイを禁止し、2027年までに英国の5G通信ネットワークからファーウェイを削除するよう命じた。

フレミング氏は、中国がインターネットのインフラストラクチャを分断して支配力を強めようとしていると警告した。 また、中国はユーザーの取引を監視するためにデジタル通貨を使用し、ウクライナ侵攻でロシアに課されたような国際制裁を回避しようとしているとも述べた。

フレミング氏は、広く使用されているGPSナビゲーション技術の代替である中国の北斗衛星システムには、「紛争が起きた際に他国の宇宙へのアクセスを拒否するドクトリンを持った、強力な対衛星能力」を持ちうると述べた。

同氏は、欧米の企業や研究者には知的財産の保護を強化するよう、また、民主主義国には、発展途上国が「中国のテクノロジー構想に取り込まれて未来を抵当に入れる」ことを防ぐための代替手段を開発するよう呼びかけた。

同氏は、世界の民主主義国が量子コンピューティングなど最先端分野で後れを取るわけにはいかないと述べ、携帯電話からミサイルに至るあらゆる分野で使用される重要なチップである半導体に対する潜在的な弱みについて警告した。 台湾は半導体で世界をリードしているが、中国共産党は台湾を自国領土であるとみなし、台湾を支配下に置くために武力行使も辞さない構えを見せ始めている。

「台湾海峡での出来事と、その重要なサプライチェーンに対するリスクは、英国のレジリエンスと将来の世界的な成長に直接影響を与える可能性がある」とフレミング氏は述べた。

フレミング氏はまた、ウクライナ戦争について言及し、ロシアは武器が不足しており、ウクライナの「戦場とサイバー空間での勇敢な行動が潮流を変えている」と述べ、

「ロシア軍は疲弊している。 ロシア軍が囚人を増援部隊とし、何万人もの経験の浅い徴兵を動員していることは、絶望的な状況を物語っている」との見解を示した。

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