カビ感染は脳の認知機能に影響を与えるため、家にカビが生えるのを防ぐ必要があります。(Shutterstock)

カビは記憶力を低下させて認知症を引き起こす!?5つの技でカビを防げます(1)

オーストラリアから来た栄養士のエイミー・スキルトン(Amie Skilton)さんは、もともと健康でしたが、新しい家に引っ越してから2ヶ月後に脳に異常が出始めました。例えば、彼女は突然自分の名前を忘れ、服を着る方法さえも分からなくなりました。病院に行くと、3型アルツハイマー病と診断されました。その後、彼女は原因が水漏れ、湿った空気によるカビの発生など、新しい家の環境にあることが分かりました。

スキルトンさんは再び引っ越し、水漏れのない家に住んだ後、彼女の状況は徐々に改善され、脳機能が正常に戻りました。

カビは認知症を引き起こすのだろうか

3型アルツハイマー病は吸入性アルツハイマー病(Inhalational Alzheimer’s disease)とも呼ばれます。カリフォルニア大学サンフランシスコ校の神経退化性疾患の専門家デール・E・ブレイドソンさんが2016年に発表した研究によると、3型アルツハイマー病はカビ毒素への露出と関係があり、治療可能な病気だそうです。

アルツハイマー病は最もありふれた認知症ですが、3型アルツハイマー病はめったに言及されない病名です。アルツハイマー病に関する研究の中には、カビとアルツハイマー病の関連性を探そうとする研究がいくつかあります。

2015年のある研究によると、アルツハイマー病患者の遺体の脳切片で真菌細胞と菌糸が発見され、真菌の形態分類にはカビが含まれていました。研究者は結論として、アルツハイマー病の病因は真菌感染かもしれないが、患者の免疫が弱くなって真菌に感染した可能性もあると言及しました。

では、カビ感染は本当にアルツハイマー病を引き起こすのでしょうか。

現在の研究では両者の因果関係について、はっきり言えません。

台湾の林新病院の脳卒中センター主任、脳神経内科医の林志豪氏は「まだ一般的には言われていない」と述べています。

しかし、彼はアルツハイマー病に対する人々の理解は、依然として盲人のようで「様々な要因があり、それは結局このような結果(アルツハイマー病に罹患する)」と強調しました。

アルツハイマー病は複雑な病気なので、血管循環不良の理論、長期発炎、慢性細菌感染など多くの関連理論があります。

アルツハイマー病は複雑な病気であり、カビ感染との明確な因果関係はありません。

カビ感染は記憶力に影響を及ぼし、

脳を退化させる可能性がある

しかし、長期のカビ感染は記憶力に影響を及ぼすことが確認できました。

林志豪氏は臨床で多くの症例が、カビに感染して髄膜炎を引き起こし、脳の認知機能に影響を及ぼし退化させると述べました。

髄膜炎を誘発するカビの中では、クリプトコッカスが最も多く、脳へのダメージは2種類に分けられます。一つは脳細胞を直接攻撃し、もう一つは間接的で、脳が長期的に炎症を起こして脳を損傷します。隠球菌は血管を塞栓しやすくし、脳卒中を起こして脳に損傷を与えることもあります。

高齢者、免疫機能が悪い人、例えば糖尿病、悪性腫瘍、ステロイドを長期服用、飲酒による肝硬変の人は髄膜炎の危険性が高いです。症状は最初は風邪のようで、軽い頭痛、微熱で、明らかな不快感はありません。しかし、長期的には脳機能が退化し、反応がますます鈍くなり、てんかん、手足の半分がだるいなどの症状まで現れます。

「私は臨床で度々、お酒により肝硬変になり、免疫機能が悪くなった人に遭遇します。このような人は衛生習慣が悪かったり、酔っぱらって道に倒れたりすると、カビに感染しやすいのです」と林志豪氏は言いました。

一般的に、カビ感染は薬で治療でき、多くの人が回復できます。患者が脳を傷つける後遺症を残すかどうかは、曝露されたカビの量と感染の深刻度によります。長期慢性感染、感染範囲が大きいなどの状況が深刻な人の場合、認知機能障害の後遺症が残りやすく、頭が使いにくくなります。

(つづく)

 

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