2020年1月26日、中国北京で、天安門前に立つマスクをつけた警察官 (Betsy Joles/Getty Images)

中国の海外警察署 14カ国が調査開始 人権団体「日本は公式対応まだ発表していない」

スペインの人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」は7日、中国当局が海外に設置した「警察署」をめぐり、14カ国が調査に乗り出していると発表した。新たに16の警察署の存在が判明したとし、詳細を後日発表するという。東京で確認された中国の警察署について、日本政府は態度を明らかにしていない。

セーフガード・デフェンダーズは9月に発表した「海外110」と題する報告書で、中国が他国に非公式に設置した警察署についてまとめた。報告書によれば、中国の福建省福州市と浙江省麗水市青田県の公安部(警察に相当)が世界各地に54の警察署を設置している。

中国は、非公式警察署は国外在住の中国人に運転免許の更新やパスポート更新といった行政手続きを提供していると主張。これに対し、オランダは中国の警察署の設置は違法であると非難している。

オランダは1日、2カ所の違法な警察署の閉鎖を命じ、中国大使館に明確な説明を求めた。アイルランドも警察署設置の許可を求められたことはないとし、閉鎖と業務を停止するよう中国大使館に通達した。

その他、オーストリア、カナダ、チリ、チェコ、ドイツ、イタリア、ナイジェリア、ポルトガル、スペイン、スウエーデン、英国、米国が調査に乗り出している。

セーフガード・デフェンダーズによると、中国の非公式警察署の主な目的は、国境を越えた弾圧に従事し、中国共産党に異議を唱える者に帰国するよう圧力をかけることだという。

反体制派の王靖渝氏はオランダメディアの取材に対し、ロッテルダムの「海外警察署」を名乗る人物から今年初めに電話を受け、「両親のことを考えて」中国に帰国するよう求められたと述べた。こうした中国への帰国を「説得」する事例は、スペインやセルビア、モザンビークなどでも確認されている。

セーフガード・デフェンダーズは、別の中国警察機関が運営する16の非公式警察署が判明したため、後日発表するとしている。

いっぽう、非公式警察署の存在が確認されている日本やフランス、ブラジルなど16カ国は未だ公式な対応を発表していないと指摘した。

セーフガード・デフェンダーズは中共の国境を越えた弾圧活動について、中国との司法・警察協力協定を早急に見直すとともに、危険にさらされているコミュニティのために適切な報告および保護体制を整えるよう各国に呼びかけている。

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