カリフォルニア州にあるTikTokの事務所前のロゴマーク。2020年8月27日撮影 (Photo by Mario Tama/Getty Images)

米議員、TikTok禁止法案提出へ…「洗脳道具」と危惧

米国のマルコ・ルビオ上院議員とマイク・ギャラガー下院議員は10日、米国で中国動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の使用を禁止する法案を提出すると明らかにした。国家安全保障の危険をはらむ中国企業の米国進出を許するほか、アルゴリズムが悪用され米国人の「洗脳道具」として利用される恐れがあると警鐘を鳴らした。

両氏はワシントンポストに寄せた寄稿文のなかで、拡大するTikTokの影響力に懸念を示した。同アプリは、これまで米国ユーザーの位置情報やインターネット閲覧データの収集、ユーザーのキー入力の監視など、セキュリティの疑惑が指摘されてきた。中国共産党は不正に入手した情報やそのアルゴリズムを悪用し、党が好むシナリオを宣伝する可能性があると指摘した。

具体例として、中国当局に都合の良い政治家を支持したり、米社会の分断を煽るような動画を広めたり、ウイグル弾圧や1989年の天安門事件などの投稿を検閲したりしているという。米国の10代の約3分の2がアプリを利用し、全世界のユーザー数が10億人を超えるTikTokの影響力は小さくない。

中国共産党が制定した「国家情報法」にも触れた。TikTokを運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)をなど中国企業は、同規定に基づき、要請に応じて当局にデータを提供することが義務付けられていると述べた。 

またフォーブスの報道を引用し、バイトダンスの取締役のうち23人が以前、中国共産党のプロパガンダ機関に勤務し、少なくとも15人の社員が現在、同機関に所属していることがLinkedInのプロフィールにより明らかになったと指摘した。

ルビオ氏らの法案は、TikTokのほか中国共産党の事実上支配下にある他のソーシャルメディア企業も、安全保障上のリスクから、米国での使用を禁止することを定めている。

バイデン大統領は昨年、中国の対話アプリ「微信(ウィーチャット)」やTikTokの米国内での提供や利用を禁じるトランプ前大統領による大統領令を撤回した。ルビオ氏は同年、「リスクの高い海外拠点のアプリについて、米国の通信網や機器での使用を認める前に満たすべき基準を構築するべきだ」と禁止を求めていた。

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