迫るトランプ習会談 台湾海峡情勢と中東衝突が議題か 

2026/05/05
更新: 2026/05/05

トランプ大統領は近く北京を訪問し、習近平と会談する予定だ。中国共産党(中共)の外交系統に近い消息筋によると、中共政府は現在、中東情勢の牽制効果を活用して米国の関心を中東に釘付けにしながら、台湾問題で米側から一層の譲歩を引き出す戦略をとっている。

この構図は中東の混乱と台湾問題を同時に対米交渉の圧力として活用する二正面戦略に他ならない。一方、中共のこうした手法はリスクを拡大させるものであり、事態をかえって制御困難にしかねないとの分析もある。

トランプ習会談は台湾海峡情勢と中東衝突を議題に

トランプ大統領は5月14日から15日にかけて北京を訪問し、中共党首・習近平と会談する。同訪問は当初3月に予定されていたが、中東情勢の変化を受けて延期されていた。中共側の外交筋によると、今回の会談では台湾海峡情勢と中東衝突が取り上げられ、この二つの議題が会談全体を貫く柱となるという。

先週、香港メディアは米空軍のC-17戦略輸送機が北京首都国際空港に着陸したと報じ、外部ではトランプ訪中の先触れとみる向きもある。中共側はまだ正式な議程を公表していない。中共の傅聡国連常駐代表は5月1日、ニューヨークでのメディア説明会で、もし会談期間中にホルムズ海峡が依然として封鎖状態にある場合、通航問題が会談の重点議題として浮上する可能性が高いと述べた。現在の事態は、米・イスラエルによる対イラン軍事行動とその後の海上封鎖に起因している。

中共の外交系統に近い学者の尚啟(仮名)が記者に明かしたところでは、ホルムズ海峡封鎖後、中国の貨物船約70隻・乗組員2万人が足止めを余儀なくされており、その状況は悪化の一途をたどっているという。

「今回、中共はトランプ大統領に封鎖解除を求めるだろう。一つには、原油不足が中国にもたらす圧力を緩和するためだ。最近、中国では航空燃料の不足により多数の便が欠航を強いられ、航空会社は赤字運航を続け、ガソリン価格も上昇している。中国は数十年来最大のエネルギー危機に直面している。中共はトランプ大統領に対し、米国産品の輸入拡大によってこの問題を解決するよう提案するだろう。中共の交渉カードは依然として米国農産品の大量購入と旅客機の大量発注だ」と語った。

中共は台湾問題を米中交渉の最優先議題に据える可能性

台湾問題について尚啟は、従来と変わらず中共は台湾問題を米中関係最大の障害と位置づけていると指摘した。

「今回も中共は台湾問題を最初に持ち出すだろう。中共にとって台湾問題はもはや交渉カードではなく、いわゆる『レッドライン』だ。2025年の釜山会談では台湾問題を回避したが、今回は中共外交部が明確に『台湾問題を協議する』『立場表明を求める』と打ち出している。トランプ大統領がどう応じるか注目される。トランプ大統領は交渉の達人であり、対面の交渉で相手を制することを好む」と述べた。

2025年10月の韓国・釜山での米中会談では台湾問題が正面から議論されなかった。その後、米中関係を研究する複数の学者は、今回の会談の背景はすでに変化しており、台湾海峡問題の比重が高まり、南シナ海や朝鮮半島情勢とも相互に絡み合っていると指摘している。

地政学研究者の史超(仮名)は取材に対し「台湾問題に関する米国のいわゆる『曖昧政策』は変わっていない。だからこそ、数十年にわたって台湾は安全を保ち、経済発展を続けることができた。習近平が米国産品の購入を通じてトランプ大統領に立場表明を促そうとしているのは、率直に言えば一方的な思い込みであり、米国の国家利益にも合致しない」と述べた。

中共による台湾問題への強攻は米軍実力の戦略的誤算か

史超は、中共が国際的な場で台湾を圧迫し、さらに米国に圧力をかけようとしていることは情勢の戦略的誤算だと指摘する。

「現在の中国の政治的混乱と経済的低迷の中で、中共軍は台湾海峡を渡る能力を失っていると考える。米国は依然として中東情勢に対処しながら複数の戦線の圧力を受けているが、ソ連崩壊以来、米国の主要な仮想敵は一貫して中共であり、その軍事力と装備は主に中共を念頭に置いてきた。こうした状況のもとで、トランプ大統領の北京訪問はむしろ非公式の警告を伝える機会になる可能性が高い」と語った。

消息筋によると、3月中旬にはすでに米国の先遣チームが北京入りしていたという。

「先遣隊はとっくに到着しており、トランプ大統領の日程の細部まで確認した。米側が中国側に求めたのは、トランプ大統領の周囲一定範囲内の警護は米側が担い、外周は中共が担当し、中国側の人員が米警護の範囲内に立ち入ることを禁止するということだ。これは双方がすでに合意した方針だ」と明かした。

トランプ大統領は近頃、北京訪問を通じて農産品・エネルギー・航空機製品の対中輸出拡大を推進したいとの意向を公言している。これらの議題は引き続き議題に上がるとみられるが、取材に応じた複数の関係者は、こうした内容が主要議題になることは難しいとみている。会談後に具体的な成果文書が発表されるかどうかは現時点では不明だ。

米中関係を長年観察してきた学者は「中共は中東と台湾海峡を同時に操作しようとしているが、表向きは圧力を分散させているように見えて、実際にはリスクを拡大させている。判断を誤れば交渉カードを増やすどころか、事態をかえって制御困難にしかねない」と語った。

王一波