11月25日、サッカーワールドカップ(W杯)開催中のカタールで、宿泊施設の大幅な供給過剰という予想外の事態が起きている。写真はドーハのウォーターフロント・ホテル・アンド・アパートメンツ。23日撮影(2022年 ロイター/Andrew Mills)

アングル:W杯の熱戦続くカタール、ホテルがらがらの想定外

ドーハ 25日 ロイター] – サッカーワールドカップ(W杯)開催中のカタールで、宿泊施設の大幅な供給過剰という予想外の事態が起きている。25日からの週末を見ても、公式ポータルを検索すると少なくとも42のホテルで空室が見つかり、エアビーアンドビーにも利用可能な物件が何百件も表示されるほどだ。

大会前にはカタール政府関係者からカタール航空首脳、サポーターのグループまで、そろって宿泊場所が不足すると警鐘を鳴らし、主催者側が集合住宅やクルーズ船、果ては砂漠の中のキャンプ場まで余分に確保したにもかかわらず、現実は全くこれとかけ離れた状況になった。

ドーハの賃貸住宅オーナーらは、W杯期間を通じて120万人の観戦客がカタールを訪れるという見通しを聞いて相当な稼ぎが得られると期待に胸を躍らせたが、こうした供給過剰のために家賃は急落。その影響は今後カタールの不動産市場全体に及んでくる、と複数の不動産ブローカーは話す。

ロイターが取材した不動産ブローカーや宿泊施設運営業者、テナントなどは、一部の賃貸住宅オーナーが大会前に法外な賃貸料金を要求し、結果的に大量の空室が生まれたと指摘した。

多くの観戦客は割高なドーハでの宿泊を避け、ドバイなど近隣の都市から毎日最大500便運航されている飛行機でカタールに入る方法を選んでいる。カタール航空トップによると、これらの旅客便も宿泊施設不足に備えて設けられたという。

そうした流れも影響し、ある不動産ブローカーは、10月初めに一晩1200ドルの価格が提示されていたドーハの集合住宅の一室(2ベッドルーム)が、大会が始まる1週間前には250ドルまで値下がりした、と明かした。

<強気の値上げ>

地元のホテルや賃貸住宅オーナーがいかに強気だったかを物語るのが、追加の料金請求。

大会開始1週間前にイタリアからやってきた団体客は、宿泊を予定していたホテルと旅行代理店の間で追加料金を巡って発生したトラブルに巻き込まれ、立ち往生した。代理店のクハヤ・グローバルはロイターに、独占契約を結んでいた7つのホテルに総額1000万ドル余りの料金を前払いした後、大会開始の2週間前に少なくとも計55万ドルを支払うようこれらのホテルから求められたと説明した。

過去3回のW杯で各国のサポーターや国際サッカー連盟(FIFA)のスポンサーなどに売り出す宿泊場所を大口予約してきたクハヤを率いるボルクハード・バウアー氏は「W杯でこのような事態(料金上乗せ)は一度も聞いた事がない」と憤る。

バウアー氏によると、結局クハヤが言われた金額を送金した後、疲れ切った団体客はようやく部屋に入ることができたという。

ほかにも宿泊客と事前に合意していた追加ベッド料金を2倍以上引き上げたホテルもあった。

<市民にも影響>

カタール国内の賃貸住宅利用者も、事前の値上げにほんろうされた。不動産サービスのクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドが9月30日に公表したリポートによると、第3・四半期に長期契約の家賃は30%強上昇し、一部の賃貸住宅オーナーは利用したいなら現在の料金で2年の契約を結ぶよう要求したケースも見られた。

ドーハの集合住宅を借りている人たちに取材したところ、オーナー側は大会の何カ月も前から年間契約の更新を拒否し、家賃を引き上げたようだ。

人工の島「ザ・パール」の高級住宅街で賃貸暮らしをしてきたチュニジア人の30歳の女性は10月に契約が切れ、オーナーからW杯が終わるまで更新はしないと伝えられた。

しかもオーナーは、部屋をすぐにW杯の宿泊者用に使うため、彼女に更新前の一時退去に際して家具を残すよう条件を付けたという。

この女性は「基本的な立場上は応じるしかなかった」と述べた上で、今後割高な長期契約を迫られるのではないかと懸念している。

(Andrew Mills記者)

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