2019年1月27日、中国のカナダ大使館の外で警備に当たる警察官 (Greg Baker/AFP/Getty Images)

中国の海外警察署、自民党の議員グループ対応へ スパイ法検討も=報道

自民党の議員グループ「日本の尊厳と国益を護る会」は11月30日、中国当局が日本を含む各国に設置している「非公式警察署」をめぐり、対処する方針を決めた。産経新聞が報じた。東京で確認されている中国警察署について、議員団が方針を示すのは初めて。

産経新聞などによると、議員グループは非公式警察署の問題にくわしい有識者に実態を聞くほか、他国の工作活動を抑止するスパイ防止法案の検討など分科会を設置。来年3月頃に提言をまとめて政府に対応を促す。

グループの代表・青山繁晴参院議員は、中国共産党が国境を越えた弾圧に従事し、異議を唱える者を強制的に帰国するよう促していると指摘。「日本も例外ではない。護る会が動くことで、中国の工作活動をやりにくくする」と述べた。

林芳正外相も11月29日の記者会見で非公式警察署に言及し「中国側に対し、我が国の主権を侵害するような活動が行われていることであれば、断じて認められないという旨の申し入れを行っている」と発言した。

いっぽう、日本の非公式警察署について、政府は閉鎖要求や調査対応については明言していない。11月4日の神谷宗幣参議院議員の非公式警察署に対する答弁署で、中国が日本領域で公権力の行使を同意なしに行えば「我が国に対する主権の侵害となると認識している」と述べるに留めた。

非公式警察書は、スペインの人権団体「セーフガード・デフェンダーズ」が9月に発表した報告書によって明らかになった。報告書によれば、中国の福建省福州市と浙江省麗水市青田県の公安部(警察に相当)が世界各地に54の警察署を設置し、人権活動家や中国民主活動家などへの越境弾圧に関与している。2021年4月から2022年7月にかけて、中国へ帰国させられた中国人は23万人に上るという。

米連邦捜査局(FBI)のレイ長官も17日、上院の委員会で中国非公式警察について「存在を把握している」と強い懸念を示した。適切な連携なしに米国内に駐在所を構えるのは「言語道断」であり「主権を侵害し、標準的な司法および法執行の協力プロセスを回避している」と批判した。

現在、米国や豪州などが調査に乗り出しているほか、オランダとアイルランドは警察署の閉鎖を命じた。

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