カナダのメラニー・ジョリー外相 (Andreas Rentz/Getty Images)

カナダ外相、中国に対抗 「台湾海峡を通過する軍艦を増やす」

カナダのジョリー外相は5日、中国が主張する台湾海峡が国際水域であることを強調するため、今後さらに多くの軍艦を通過させると述べた。カナダ政府は先月インド太平洋戦略を発表し、地域の存在感を示していく構えだ。

ジョリー氏は英フィナンシャル・タイムズのインタビューで「台湾海峡に関して、(カナダは)国際的なルールに基づく秩序を維持し続ける。だからこそ、今年の夏、米軍の艦船とともに台湾海峡を通過した。今後、さらに多くのフリゲート艦を通過させる予定だ」と語った。

中国側は台湾海峡が国際水域ではないと主張してきたが、ジョリー氏の主張は中国を強くけん制する動きとなる。

また、インド太平洋の平和と安定を確保するため、カナダは「新たな軍事資産を約束する」と述べた。カナダはインド太平洋地域への軍事支援に4億カナダドル (約2億9700万ドル) を投資するほか、同地域に配備されるフリゲート艦を2隻から3隻に増やす。さらに同地域に多くの外交官を派遣すると付け加えた。

「この地域の安全保障のために、さらなる努力が必要なことは承知している」「抑止力を高めるために投資する必要がある…これが国際規範を尊重する最良の方法だ」

ジョリー氏は、カナダが「ファイブ・アイズ」の情報共有ネットワークにさらに投資するとも強調した。「これらの地域は我々にとって非常に重要であり、カナダは信頼できるパートナーになる必要がある」と連携強化の重要性を訴えた。一方で、具体的な方案については言及を避けた。

また、日本や韓国との関係強化も強調し、エネルギー輸出先としてだけでなく、鉱物資源分野への投資にも期待を寄せた。カナダ政府は11月、国家安全保障に悪影響を及ぼす可能性があるとして、中国企業3社に対して、カナダの重要鉱物企業からの投資引き上げを命じた。

先月発表したインド太平洋戦略で、トルドー政権は中国の影響力の増大に触れ「国際秩序を混乱させている」と明記。同地域とカナダの安全保障・経済成長の係わりを重視し、5年で約23億カナダドル(約2400億円)を投資するとした。

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