2021年12月、北京のホテル受付でPRC検査を担当する係員たち (Photo by Andrea Verdelli/Getty Images)

「荒稼ぎ」「偽判定」…中国当局がPCR企業を槍玉に 抗議デモからの論点逸らしか

PCR検査試薬企業はコロナ禍に乗じて荒稼ぎしているのではないかー。検査試薬企業が高収益を記録したことについて、中国SNSで話題となり企業は批判の矛先を向けられている。

鳳凰網の統計によれば、中国のPCR検査業務に関わる上場企業15社の今年の第3四半期の平均粗利率は59.6%だった。PCR産業チェーンの上流にある検査試薬会社は粗利率80%を超えた。最も高かったのは中国一の富豪・鍾睒晱氏の万泰生物会社で、同89.57%だった。

これは、高級嗜好品のひとつである蒸留酒大手「茅台酒」(前年粗利益率91.5%)に迫る数字だ。「PCR検査試薬企業の粗利益は茅台酒(高級蒸留酒)に匹敵する」と題した話題が6日、中国のネット上でトレンド入りした。

中国国内メディアは中国共産党が統制している。PCR検査企業を槍玉に挙げる党の狙いは、ゼロコロナ政策のロックダウン(封鎖)措置に反対する抗議デモが取り沙汰される中、責任転嫁を図るためではないかとの指摘もある。

中国共産党官製紙・人民日報は11月29日、「PCR検査の混乱が止まらなければ、感染は永遠に終息しない」という論説を発表。感染が長引く原因の一つにはPCR検査の判定偽装であると批判した。

記事によれば、陽性判定を隠蔽して感染症対策措置を怠ったり、陰性判定であるにもかかわらず陽性にして検査需要を拡大させるなどしたという。複数のPCR企業は刑事責任を問われている。

政治評論家の李燕銘氏は12月2日、大紀元に対し、中国共産党のメディアがPCR検査企業を非難するのは、中国各地で「白紙革命」と呼ぶ抗議デモが勃発するなか、別課題を作り出して早期に危機を回避する狙いがあるのではないかと分析する。

また、江沢民元総書記の実子・江綿恒氏らが握る医薬関係の利権を、江氏の死後をもって一掃する機会をうかがっている可能性もあると述べた。

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