1分で読める故事成語(大紀元)

杯中の蛇影【1分で読める故事成語】

河南の長官・楽広には親しい友人がいますが久しく連絡がありません。ある日その訳を聞くと、「前におそばでお酒をちょうだいした時、飲もうとすると杯の中に蛇がいるのが見えて気分が悪くなった。そして、そのお酒を飲むと病気になった」というのです。

ある日、楽広は役所の壁に飾ってある弓に漆で蛇の絵が描かれているのを見つけました。そして、ふと友人が言った杯の中の蛇というのは、これが反射して見えたものではないかと思います。

翌日、その友人を招いてお酒を盛った後、「杯の中にはまた何か見えるか?」と尋ねます。友人は「前のように蛇が見える」と答えました。今度は壁に飾った弓を取り外して、「見えるか?」と聞くと、案の定、「もう何もない」と答えが返ってきました。事情を知った友人の煩悩が消え、今までの病気もたちまち治りました。

「杯中の蛇影」は、疑い惑う心が生じて、つまらないことで神経を悩まし苦しむことの例えとして使われます。

出処『晋書』「楽広伝」

関連記事
舍衛国(古代インドのコーサラ国にあった首都)に、あるバラモン教の信者がいた。彼は裕福だったが、ケチで貪欲な心の持ち主で、食事の時はいつも門戸をきつく閉ざしていた。 
【大紀元日本8月26日】一本のかんざしで修煉の機縁を失ってしまった修煉者の物語である。 山奥に庵を結び、一心に修行に励む修煉者がいた。彼は世の中の名誉、利益、色欲などすべての煩悩と欲望を捨て、ひとりで
【大紀元日本10月15日】昔、古インド拘薩羅国の森の奥に、ある若い修煉者が住んでいた。修煉者には仲の良い金持の友人がおり、その友人には非常に美しい妻がいた。修煉者は金持ちの家をよく訪れていたが、それを
チベットの片田舎、シャアツェ地方と呼ばれるところには、美しく豊かな畑が広がっていた。その畑の中では、七~八歳ぐらいの少年が働いていた。
弓術(ここでは弓道やアーチェリーの総称)は狩猟や戦争時に使える武術ですが、同時に深い文化をも継承しています。また、身を修め人格を磨く活動として、何千年も受け継がれてきました。