2021年ミュンヘンのモーターショーで展示された電気自動車、参考写真 (Photo by TOBIAS SCHWARZ/AFP via Getty Images)

米ワイオミング州議員 2035年までに段階的にEV廃止法案を提案

ワイオミング州の6人の共和党議員は2035年までに州内におけるEVの新車販売を段階的に廃止することを提案した。石油およびガス産業を保護し、重要な資源を保護するためだ。

州議会に13日提出された法案の中で、共和党議員らは、石油とガスの生産は「長い間ワイオミング州の誇り高く価値のある産業の1つ」であり、無数の雇用を創出し、同州の歳入に貢献してきたと述べた。また、同州の貿易と輸送においてガソリン車が果たしてきた重要な役割を強調した。

「ガソリン車を犠牲にしてEVを急増させることは、ワイオミング州のコミュニティに悪影響を及ぼし、同州の経済と効率的に商取引に従事する国家としての能力に有害である」と法案は述べている。

議員たちはまた、ワイオミング州のインフラではEVの普及をサポートできないという懸念も表明しました。具体的には、長く伸びる同州の高速道路システム全体に、必要な数の充電ステーションをすべて設置することは単に実行不可能であると指摘した。

「EVに使用されるバッテリーには、国内の供給が限られており、混乱のリスクがある重要な鉱物が含まれている」と付け加えた。「バッテリーに使用される重要な鉱物は、簡単にリサイクルまたは使い捨てができない。つまり、ワイオミング州やその他の地域の地方自治体の埋め立て地は、これらの鉱物を安全かつ責任ある方法で処分するための慣行を開発する必要がある」

この提案は、ワイオミング州の上院鉱物・ビジネス・経済開発委員会から前進するのに十分な支持を得ていなかった。

EVは、バッテリーにリチウムを使用し、ドライブトレインシステムにネオジム、プラセオジム、ジスプロシウム、テルビウムを使用する。これらの鉱物は、F-35戦闘機や精密誘導ミサイルなどのアメリカの次世代軍事兵器の製造にも必要である。

現在、世界の加工希土類鉱物の供給のほとんどは中国から出ている。

ワイオミング州における段階的なEVの廃止は、「極めて重要な目的のために、国の重要な鉱物を保護するのに役立つ」と法案は述べている。

この提案は、2030年までに米国で販売されるすべての新車の半分をEVにするという、バイデン大統領の目標とは相反するものだ。

「自動車産業の未来は電気」と、バイデン氏は2021年、目標を発表したホワイトハウスのイベントで述べた。「電気であり後戻りはできない。問題は、それが将来の競争でリードするか遅れるかである」

大統領の目標を達成するために、米国は現在得ている希土類鉱物の少なくとも10倍の供給を必要になるという。テキサス州で最大の重希土類元素の鉱床の1つを所有し、フロリダに本拠を置くUSAレアアースのCEOであるピニ・アルトハウス氏は述べている。

アルトハウス氏は2021年にTechFirstポッドキャストで次のように語った。「現在から2050年までに、おそらく現在の約20〜25倍が必要だ」

(翻訳・大室誠)

関連記事
昨今の日本の環境教育は、もはや教育の名に値しない「環境運動」と化している。エネルギー政策の専門家である杉山大志氏は、「今の環境教育は、ただCO2を減らせと子供たちに叫ぶだけの洗脳だ」と手厳しい評価を下した。
内閣府への提出資料に中国国営企業のロゴが入っていた問題は、国会とネット世論をどよめかせた。「中国共産党の浸透だ」とする論調に対し、有識者はむしろ「『使える愚か者(Useful ideot)』が日本の政策決定に関わっていることこそ問題だ」と指摘する。
「業界表示によって、一般消費者が廃棄物削減のための解決策を信用しすぎるようになった」と主張する人たちがいる。彼 […]
日本のエネルギー政策は、CO2削減に偏重するあまり、産業空洞化を招き、国力を毀損しかねない危機に直面している。エネルギー政策に関する提言を行う杉山大志氏は、「エネルギードミナンス計画」を提唱し、エネルギーコストの低減と安全保障の確保を最優先する現実的な政策転換を訴える。
今年2月、中国江蘇省の省都・南京市で34階建てのビルで火災が発生し、15人が死亡、44人が入院し、うち1人が重 […]