12月下旬、南シナ海のスカボロー礁を巡行する中国海警局の船 (Photo by STR/AFP via Getty Images)

東シナ海、南シナ海で脅威を増す中国共産党の「第二の海軍」

インド太平洋の係争海域で、急成長し自己主張を強めている中国海警局が厄介な存在になっている。 インドネシア、ベトナムから日本、フィリピンまで、中国共産党の約150隻を擁する中国海警局の艦隊が近隣諸国の沿岸に出没し、時には漁船や石油、ガス、鉱物を求める船舶と衝突している。

中国海警局は、他国の排他的経済水域(EEZ)において権限の主張を強めている。排他的経済水域とは、沖合200海里(約370km)までの水域を指す。 中国政府は、南シナ海のほとんどの水域と地形が中国の領土であると主張しているが、2015年の国際法廷で、中国はそのような法的地位にはないことが宣言されている。

2021年2月に中国政府が施行した中国海警法は、中国が主権を主張する海域で活動する外国船に対して、この海警法を執行する艦隊が殺傷力を行使することを許可している。 この法律は国連海洋法条約に違反し、自由で開かれたインド太平洋の原則に逆行すると、ニュース誌「ザ・ディプロマット」は2021年4月に報じた。 「法執行機関と称しているが、中国海警局の戦闘能力はアジアのほとんどの海軍をはるかに凌駕している」と同誌は報じている。

▶ 続きを読む
関連記事
中国共産党海軍の空母「遼寧」を中心とする艦隊が太平洋上で活動し、艦載機の発着艦訓練を集中的に実施した。防衛省は自衛隊艦艇や哨戒機を投入し、継続的な警戒監視と情報収集を行っている
中国共産党海軍の情報収集艦が沖縄・宮古島周辺海域を航行したことが確認された。防衛省は海自哨戒機を出動させ警戒監視を実施。南西諸島周辺で続く中共海軍の活動が改めて浮き彫りとなった
中国共産党政権の指導者である習近平の反腐敗粛清は、政治的統制を強めることを目的としていたが、むしろ兵器生産を混乱させ、中国が高強度戦争を戦う能力に疑問を投げかけている
中国軍機による航空自衛隊機へのレーダー照射問題をめぐり、中国共産党当局が訓練開始を事前に自衛隊へ通告したと主張し、当時のやりとりとされる音声を公開したことについて、元参院議員の「ヒゲ隊長」こと佐藤正久氏が10日、自身のX(旧ツイッター)で「積極的に正当性をデータで主張すべき」「これは情報戦」との見解を示した
中共当局が訓練の開始を自衛隊に事前通報した際のやりとりを公開したことについて、小泉防衛相は10日「事前に通報されてない」と反論。長時間にわたりレーダー照射を受けるという緊張を強いられる状況で、冷静に任務を遂行した自衛隊パイロットらを「誇りに思う」とも語った