米国の保守派シンクタンクは中国共産党との戦いに挑むべきだと報告書で示した。写真は編隊飛行する米空軍機 (Photo by South Korean Defense Ministry via Getty Images)

米中新冷戦、防御だけでは勝てない 軍備増強し「戦いに挑むべき」=米報告書

米国で大きな影響力を持つ保守系シンクタンクは28日発表の報告書で、米国は中国共産党との冷戦において自国防衛のための行動を即座に取らなければならないと指摘した。報告発表会に出席したタカ派のマルコ・ルビオ上院議員(共和)は、今はまさに21世紀を定義づける瞬間だと述べた。

シンクタンク「ヘリテージ財団」は「新たな冷戦に勝つための計画:中国対策(仮訳)」と題する報告書のなかで、独裁政権が世界秩序を牛耳ることを防ぐための100以上の政策提言を行なった。米国本土の防衛、経済の繁栄、そして中国共産党の影響力を低下させることなどが盛り込まれた。

報告書の発表会に出席したマルコ・ルビオ上院議員(共和)は、中国共産党との戦いは、個人の権利を重んじる文明と全体主義的文明との価値観の対立であると位置付けた。

「中国共産党は米国を置き換えるだけではなく、世界秩序を書き換えようとしている。私たちはそのような国と対立している」とルビオ氏。「21世紀を定義づける歴史的瞬間に私たちは生きているのだ」。

報告書はまた、バイデン氏率いる民主党政権が中国共産党との戦いを「戦略的競争」と呼んでいることに異論を唱えた。中国は数十年前から冷戦式の戦略で米国に接しているにもかかわらず、米国当局は冷戦の枠組みで捉えることに消極的だった。

ヘリテージ財団アジア研究センターのジェフ・スミス所長は「様々な方面で軍事的な衝突に至らない対立が起きている。これこそが冷戦だ」と強調した。スミス氏は、中国共産党にこれ以上対立をエスカレートさせないためにも、米国は対中防衛戦略を改善し、抑止するのに十分な軍事力を備えるべきだと指摘した。

ヘリテージ財団で国家安全保障・外交政策を担当するジェームズ・カラファノ副所長は、中国共産党が核兵器を増強しているため、米国は強力な核抑止力で対応しなければならないと述べた。さらに、ロシアが一方的に新戦略兵器削減条約(新START)から脱退した今、米国はこれまで以上に戦力に投資しなければならないと強調した。

「単に壁を作って遮断するだけでは、アメリカを中国から守ることはできない。中国共産党との戦いに挑まなければならないのだ」とカラファノ氏は語った。

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