2022年3月12日、ラッセル・フライ氏 (Sean Rayford/Getty Images)

米下院議員、検察官の権力濫用を阻止する法案発表 トランプ氏の起訴受けて

米国のラッセル・フライ下院議員は11日、トランプ前大統領に対する刑事裁判を連邦裁判所に移すことを可能にする法案を発表した。州検察官が政治的な動機のために大統領や副大統領を起訴するといった権力の濫用を阻止する狙いがある。

法案は、既存の連邦法を改正し、現・元大統領と副大統領の民事・刑事事件を州裁判所から連邦裁判所に移すことを認める。フライ氏は、連邦裁判所裁判官は「米国上院で承認され、終身職務を務め、その地位を維持するために選挙に勝つ必要がない」ため政治的判断を下す可能性が低くなると述べた。

フライ氏は法案提出に先立ち、トランプ氏への起訴について「法の支配に対する攻撃であり、国民の司法制度に対する信頼を損なうものだ」とツイートしていた。

法案は、トランプ氏が4月4日に罪状認否のために出頭して以来、初の立法対応となる。トランプ氏は、2016年の大統領選中に口止め料を不正に処理したなど34の罪状で起訴された。同氏は、政治的動機に基づく「中傷キャンペーン」だと無罪を主張している。

米FOXニュースの取材に答えた司法委員会の共和党側近によれば、共和党は法案を下院に移すことを「当然」検討しているという。下院は共和党が多数派だ。

この起訴について共和党は、2024年大統領選の出馬を表明しているトランプ氏に対して、司法を武器化した民主党の妨害だと指摘する。トランプ氏の裁判が開催されるマンハッタン地区も民主党が支配する。

トランプ氏の弁護士ジム・トラスティ氏は「マンハッタンは前回の選挙で87%がジョー・バイデン氏に投票した。マンハッタンはリベラリズムやアクティビズムの拠点であり、プロセス全体に影響を及ぼす」と米ABCに語った。

ニューヨーク州マンハッタン地区のアルビン・ブラッグ検事が起こした起訴について、共和党のほか、トランプ氏に批判的な政治家なども起訴に対し懐疑的な見解を示している。

トランプ氏の弾劾裁判で有罪票を投じたミット・ロムニー上院議員は「今回の起訴は政治的動機に基づくものだ。検察官の行き過ぎた行為は、政敵を犯罪者にする危険な前例となり、国民の司法制度に対する信頼を損なう」と述べた。

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