英利アルフィヤ氏(Photo by PHILIP FONG/AFP via Getty Images)

英利アルフィヤ議員誕生、在外ウイグル人団体は人権課題への取り組みに期待

23日に投開票した衆院補欠選挙で、ウイグル系日本人女性で元国連職員の英利アルフィヤ氏が当選した。これを受けて在外ウイグル人団体は声明を発表し、中国共産党による新疆ウイグル地区での人権侵害に対処する国際的な取り組みが前進するよう期待を示した。

34歳の英利氏は千葉県第5選挙区を代表する衆議院議員に選出された。公表資料によれば11歳で日本国籍を取得した彼女は帰化一世の国会議員となる。

中国政府はウイグル人や他の少数民族、信仰者を「再教育」キャンプに拘束し、人権侵害を伴うデジタル監視技術の元で強制労働や不妊手術を強要している。これらについて近年、日本政府を含む欧米諸国、および国連人権委員会は強い懸念を表明している。

ドイツ拠点の世界ウイグル会議(WUC)は「歴史的な勝利」と称え歓迎の意を示した。また、日本を含む世界の在外のウイグルコミュニティにとって重要とした。「日本国民と国家の利益に奉仕するとともに、議会やその他の高度な会議の場でウイグル問題を提起することを期待する」と付け加えた。

東京の日本ウイグル協会は25日の声明で「選挙期間中に公約した政策・主張を成し遂げ、日本国のために全力を尽くす政治家になることを期待する。また、ウイグル問題に関心のある国会議員らと緊密に連携し、国際社会がウイグル問題に立ち向かう上で日本が果たせる指導力を引き出す存在であってほしいと願っている」と述べた。

同協会理事のSawut Memet氏はRFAの取材に対し、英利氏の当選は新疆での抑圧政策を正当化するために中国がウイグル人を「テロリスト」として描写していることを否定するものだと語った。

中国外務省は英利氏の当選についてコメントしていない。

英利氏は福岡県北九州市出身で、11歳で日本国籍を取得した。父親の転勤で10代は中国で過ごす。米ワシントンのジョージタウン大学を卒業し、日本銀行やニューヨークの国連本部に勤めた。同大学ウォルシュ外交大学院教授ジェームズ・ミルワード氏は卒業生の英利氏について「才気あふれアイデアに満ちた女性」と当選を祝福した。

英利氏は昨年7月ボイス・オブ・アメリカ(VOA)のインタビューで、2016年以降の新疆ウイグル自治区について「ジェノサイドとしか言いようがないほどの状況」と語っている。

上海や広州で過ごしてきた英利氏だが、統制が強まる2013年以降は新疆に訪れていないとした。現行の状況について「現在進行中の最大の人権危機のひとつだと考えている。『ジェノサイド』という他に例えられない」と述べた。

日中関係、日台関係についても見解を述べている。中国については「中国は一党制国家であり、政治体制は日本と大きく異なり両国間感情は複雑になる。いっぽう隣国である以上理解促進や尊重が重要だ」とした。

日本と台湾との関係について、民主主義や人権擁護の価値観から双方の関係強化は非常に重要とし「東アジアで最も重要な関係の一つ」と述べた。

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