チェコ新大統領に当選したペトル・パベル氏。(MICHAL CIZEK/AFP via Getty Images)

ロシアによる戦争…中国は「終結を望んでいない」=チェコ新大統領

先月就任したチェコのパべル大統領は、中国はロシアによるウクライナ戦争の終結など望んでいないとし、和平交渉の仲介役は務まらないとの見解を示した。25日までに米政治専門メディア・ポリティコの独占インタビューに応じた。

中国外交部は2月下旬、ロシアによるウクライナ侵略一年となる日に、ウクライナ危機の政治的解決に関する12項目からなる文書を発表した。中国の立場を示すもので、直接対話の早期実現や対露制裁の停止などを盛り込んだ。

パベル氏は、中国はこの戦争をいわば「我田引水」として自国利益の追求しかしてないと断じた。

「中国はロシアとの『際限のない関係』を維持することと引き換えに、石油やガスなどの天然資源を安価で手に入れることができる。ロシアの対中依存を深化させ、戦争によって西側が弱体化するのを眺めているのだ」と述べた。

パベル氏はチェコ軍参謀長やNATO軍事委員長などを歴任。中国はまたこの戦争を通じて、西側の出方やロシアの状況など「毎日教訓を得ている」と分析した。

時事評論家の唐浩氏もまた同様の見解を示している。「パベル氏の言う通りこの戦争は中国にとって『漁夫の利』であり終結など望んでいない」と指摘した。

大統領選後まもなくして、パベル氏は台湾の蔡英文総統に電話をかけた。さらには欧州諸国に向け「中国へのいかなる幻想も捨てるべきだ」と呼びかけた。

こうした行動に中国は「内政の深刻な干渉」と反発しチェコに対して経済制裁等の圧力を加えている。いっぽう、チェコの対中輸出は全体の約1%に過ぎず、効果は限定的とみられている。

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