マサチューセッツ州ケンブリッジにあるハーバード大学。 2020年3月撮影(Photo by Maddie Meyer/Getty Images)

米ハーバード大教授に罰金刑 中国「千人計画」で虚偽

中国政府が進める海外高度人材招致プログラム「千人計画」への関与を隠蔽していたとして有罪判決を受けたハーバード大学のチャールズ・リーバー元教授をめぐり、米東部マサチューセッツ州の連邦地裁の陪審は26日、2年間の監視付き釈放と罰金8万3000ドルの判決を言い渡した。

リーバー被告はナノテクノロジー分野の世界的権威とされたハーバード大学化学・化学生物学部の元学部長。検察は「犯罪の重大性を考慮すると罪は重い」として、懲役3カ月と罰金18万ドルを求刑。リーバー被告の弁護側は「闘病生活を送っている」として情状酌量を求めていた。

リーバー被告は2021年12月、千人計画の参加をめぐる虚偽陳述や税の虚偽申告など6つの罪に問われていた。

検察側によると、被告は11年に中国湖北省の武漢理工大の「戦略科学者」として契約し、千人計画に参加。2012~17年に武漢理工大から給料として毎月5万ドル、生活費として年間15万8000ドルを受け取っていたという。

被告は、米国立衛生研究所と国防総省から補助金を受け取っていた。外国政府との関係があれば開示する義務があったが、千人計画の関与も否定し、申告を怠ったとされる。

判決を受けてリーバー氏は、知名度が上がることに注視し過ちを犯したとし、「心からの謝罪と反省」を表明したいと涙ながらに語った。現在、リンパ腫を患っている。

豊富な資金で海外から優秀な研究者を集める中国共産党中央組織部主管の千人計画は2008年12月から実施されてきたが、国家安全保障を脅かす可能性があるとして、米政府は厳しい警告を発してきた。

今回の起訴は、トランプ政権下(当時)の司法省による中国産業スパイの取り締まる「チャイナ・イニシアチブ」の一環。現政権は2022年、人種差別や偏見を煽っていると結論付け同イニシアチブを廃止した。

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