米司法当局、中国系学者2人に有罪判決 経済スパイなどで

2022/04/10
更新: 2022/04/10
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米司法当局は7日、2人の中国系学者に経済スパイなどの罪でそれぞれ有罪判決を言い渡した。専門家は、中国政府は米国に対するスパイ活動を組織的に行なっており、今回の案件はその一端に過ぎないとみている。

米連邦裁判所は7日、元勤務先の米企業から重要な機密情報を盗み出し中国に持ち込もうとしたとして、向海濤(Xiang Hai Tao)被告に経済スパイの罪で懲役29カ月と罰金15万米ドル(約1860万円)の判決を言い渡した。

向被告は2008年から2017年6月まで、米モンサント社とその子会社社にシニアエンジニアなどとして勤務。のちに中国に戻り、中国科学院南京土壌研究所に就職した。

同被告は、モンサント社から作物の収穫量を上げる機密技術を盗んだことを認めた。

米カンザスシティの連邦裁判所は同日、カンザス大学化学工学教授の陶豊(Franklin Tao)被告が、米政府の研究資金援助を受けながら中国政府の研究機関に所属していた事実を隠したとして、有罪と判断した。判決は今後言い渡される見通し。

陶被告は2019年8月に米国内で逮捕された。

検察側の訴状によると、陶被告が米国エネルギー省の2つのプロジェクトと米国国立科学財団の4つのプロジェクトに従事しながら、中国当局からトップ学者の称号「長江学者特聘教授」を授与され、研究資金を受けて研究に携わっていることを隠ぺいした。

検察側は、中国当局は各種のハイレベル人材招致計画を通じて外国科学者の研究成果を盗もうとしていると指摘し、同被告が利益相反の可能性を隠したのは詐欺にあたると判断した。

トランプ前米大統領は任期中、中国の経済スパイや技術窃盗を取り締まるための「チャイナ・イニシアチブ」構想を立ち上げた。

米連邦捜査当局の発表では、この構想で捜査対象となった20数人はほぼ中国系学者である。

米連邦捜査局(FBI)のクリストファー・レイ長官はかつて、「中国のスパイ活動は、米国にとって長期的な脅威となる」と懸念を示した。

米国家防諜安全保障センターのウィリアム・エバニナ長官(当時)は2020年、「中国による米国企業機密の不正取得は、我が国に年間3000億から6000億ドル(1ドル=124円)の損害を与えている」という調査データを明らかにした。

いっぽう、米司法省は今年2月、人権団体や学術界から「偏見を助長する」などと批判があがり、「チャイナ・イニシアチブ」構想の終了を発表した。今後、「より広範なアプローチ」に見直されるという。