岸田文雄首相は主要7か国首脳会議(G7サミット)初日の19日夜、記者団に対して、核軍縮に関するG7広島ビジョンを発出し、「核兵器のない世界の実現に向けたG7首脳の決意、具体的合意、今後の優先事項、方向性を力強く示す」と表明した。写真は海外メディアのインタビューに応じる岸田首相。4月撮影。(2023年 ロイター/Issei Kato)

核軍縮広島ビジョン、核兵器ない世界へ優先事項示す=岸田首相

[広島市 19日 ロイター] – 岸田文雄首相は主要7か国首脳会議(G7サミット)初日の19日夜、記者団に対して、核軍縮に関するG7広島ビジョンを発出し、「核兵器のない世界の実現に向けたG7首脳の決意、具体的合意、今後の優先事項、方向性を力強く示す」と表明した。

広島ビジョンは「全てのものにとっての安全が損なわれない形での核兵器のない世界の実現に向けたコミットメントを再確認する」とし、77年間に及ぶ核兵器不使用の重要性を強調。ロシアの無責任な核のレトリックは受け入れられないとしたほか、イランが核兵器を開発してはならないとの決意を改めて表明した。

北朝鮮に対しても核実験又は弾道ミサイル技術を使用する発射を含め、不安定化をもたらす、または挑発的ないかなるその他の行動も自制するよう求めた。また、中国に対し、核拡散防止条約(NPT)に実質的に関与することを求めた。

岸田首相は「核兵器保有国の核戦力データの公表などで合意できた」と強調。広島ビジョンでは核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の即時交渉開始や包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効も要求している。

<G7首脳、被爆の実相に触れ「歴史的」>

岸田首相は初日の議論で「G7のゆるぎない結束を確認するとともに、法の支配に基づく国際秩序を守り抜くことにおいて一致することができた」と強調。午前中の平和記念資料館の視察では「被爆者との対話や、慰霊碑への献花を行い、原爆で壊滅的な被害を受け、その後見事な復興をとげた広島において、G7首脳とともに被爆の実相に触れ、これを粛然と胸に刻む時を共有した」とし、「歴史的なことだった」と総括した。

東アジアの安全保障環境では「台湾海峡の平和と安定性の重要性と両岸問題の平和的解決を促すことで一致した」と述べた。

ウクライナ側が正式に認めているゼレンスキー大統領の広島訪問予定については、オンラインで参加するとの18日の首相発言に付け加えることはないと説明した。

関連記事
中国共産党の統治に反感を抱く中国人が続々と東京に集っている。識者らは、辛亥革命時に日本人が孫文らを支援した歴史を想起し、「義を見てせざるは勇なきなり」の精神で中国人と付き合うべきだと指摘した。
亜細亜大学の范雲濤教授(61歳)=中国籍=が昨年2月に中国へ一時帰国した後、行方不明になっている。政府に対してもっと積極的な対応を求める声が高まってる。松原仁氏は24日の衆院外務委員会で、上川陽子外相に対し、范雲濤教授の失踪について外務省の対応を問いただした。上川外相は、3度質問したにもかかわらず、ノーコメントで答えることを繰り返し、中国に対し口をつぐむ、具体的な対応は公表していなかった。
中華民国の次期総統、頼清徳氏は、4月30日台湾を訪問した自由民主党の鈴木貴子青年局長一行との会談した。総統府によると、頼氏は、5月20日に総統に就任した後も、「各方面での協力関係をさらに強化することを期待している」と述べのに対し、鈴木貴子衆院議員は日台関係は今後、「必ずさらに強固になるだろう」と応じた。
外務省が最新の「日本2024年版の外交青書」を発表した。中国との関係において「互恵的」であることを再確認しつつ、中国の軍事的脅威の増大に対する日本の懸念を強調した。
自民党の麻生太郎副総裁が2024年4月23日にニューヨークのトランプタワーでトランプ前米大統領と約1時間にわたる会談を行った。この会談は、トランプ氏が再選された場合に備え、両者の良好な関係構築を図るものとみられる。