1989年の天安門事件から34年を迎えた4日、香港ではかつて大規模な追悼集会が開催されていたビクトリア公園付近には多数の警察官が派遣され、装甲車両まで動員される厳戒態勢が敷かれた。写真は警察に拘束される女性(2023年 ロイター/Tyrone Siu)

天安門事件から34年迎えた香港、警察が厳戒態勢で拘束者も

[香港/台北 4日 ロイター] – 1989年の天安門事件から34年を迎えた4日、香港ではかつて大規模な追悼集会が開催されていたビクトリア公園付近には多数の警察官が派遣され、装甲車両まで動員される厳戒態勢が敷かれた。こうした中でロイターが目撃しただけでも、花束を抱えていた活動家や、ろうそくを手に街頭に1人で立っていただけの老人など十数人が警察に拘束され、当局による締め付けの強さが改めて浮き彫りになった。

黒いTシャツを着てこの公園を訪れ、警察から尋問を受けたというクリス・トーさん(51)は「体制側は(天安門事件を)忘れてほしいと思っているが、決して忘れてはならない。(中国は)全ての歴史をなかったことにしたいのだ。われわれは自らの体と言葉を駆使し、何が起きたのかを伝えていく必要がある」と訴えた。

香港では今年になって当局の治安維持への取り組みが格段に強化されており、地元メディアによると最大で6000人の警察官が各所に配置されている。

複数の政府当局者は市民に対して法令を守るよう警告も発してきた。ただ天安門事件の追悼行為が2020年に制定された香港国家安全維持法に抵触するのかどうか明言はしていない。

香港の警察当局は声明で、何人かを「扇動の意図」と「公共の平穏さを乱そうとした」との理由で逮捕したと発表した。

4日の首都北京の天安門広場自体は、警察の目が光る中でも写真撮影をする観光客でにぎわっており、警戒態勢が目立って厳格化された形跡はなかった。

一方台湾の台北市内では、数百人が参加した天安門事件の追悼集会が開かれた。参加者の1人は香港で追悼ができなくなっている現状に悲しみを示し、「香港(の自由)は後戻りしている」と語った。

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